24日、エジプトで武装集団によるモスク(礼拝所)襲撃事件が発生した。 判明しているだけで死者の数は305人、負傷者は115人。 その数はまだ増えそうである。
エジプトではこれまでにも 乗客乗員224人全員が死亡した旅客機墜落事故や70人以上が犠牲になったキリスト教会を標的にしたテロなど、多くのテロが起きて来ている。 しかし、今回のテロはこれまでのテロと大きく異なる点が2つあった。
一つは、従来のテロは外国人やキリスト教徒、政府職員などを狙ったものであったが、今回はモスクで礼拝するイスラム教徒が標的となったことである。 もしも犯行者がイスラム教徒であったとしたら、同胞を狙ったテロということになる。 二つ目は殺傷に関する残虐性が一段と増してきたことである。
その残虐性については、死者の数が負傷者の数を大きく上回っていることが示している。 襲撃の様子を見てみると、先ず礼拝が終わったタイミングで遠隔操作によって教会内に仕掛けた爆弾を爆発。 その後、爆発を免れて教会から逃げ出そうとする信者をめがけてライフル銃で銃撃。 逃げ延びる信者に銃で追い打ちをかけたのだからたまったものではない。 まさに教会は地獄と化してしまったのだ。
その結果、爆弾による死者が110人前後であったのに、銃撃による死者数はその3倍近い305人ほどに達し、死者の数が負傷者数を上回るという異例なテロとなったのだ。 まさに残虐・非道の極みのテロである。 残虐・非道でないテロなどないが、爆弾を爆発させて礼拝所から逃げ延びる信者をめがけて銃を乱射するテロなどは、前例がない。
もはやここまで来たら人間の為せる行為ではない。 犯行に及んだ者たちは人間の姿をした狂人としか言いようがない。 我が国でも9人の人間を次々と殺し、その首を箱に詰めて狭い部屋で2ヶ月近く平気で暮らすという狂気の沙汰が起きている。 悪霊に憑依されたのか、隠された「素」が出たのか、両者が一緒になったのか、いずれかであろうが、なんとも恐ろしい時代が到来したものだ。
これから先は「冷静な心」を持ち続けることが何より大事であることは、かねがね申し上げてきた通りであるが、こうしたテロや事件を目にするとその必要性が一段と増してくる。 忙しさにまぎれて、世の乱れに飲み込まれてしまうと、冷静さを失った心で日々を過ごすことになってしまう。 それだけはなんとしても避けなければならない。 読者におかれては、その点をしっかり心に刻んでお過ごし頂きたいものである。