米国、エルサレムをイスラエルの首都と認める
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5日、トランプ大統領とパレスチな自治政府議長、ヨルダン国王との
電話会談で、米国がエルサレムをイスラエルの首都と認めることが告げられた。
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ここ数日、世界のマスコミが注目していたのが、イスラエルの米国大使館の移転問題に関するトランプ大統領の発言であった。 米国がエルサレムをイスラエルの首都として認め、大使館を現在のテルアビブからエルサレムに移転することはトランプ氏の選挙公約の一つであり、いずれ遠からずして実行に移すのではないかという点については、すでに「国連でイスラエルに対する非難決議採択」でお知らせした通りである。
しかし、もしこうした措置を実行に移した際には中東を戦場と化し、ハルマゲドンへのスイッチを入れることになる可能性が大きいだけに、非常に危険な行為であることも記してきた通りである。 それがいよいよ実行される気配が見えたのが数日前、パレスティナ暫定自治政府のアッパス議長がアラブ連盟やイスラム諸国会議機構に対して、緊急会議を開催しトランプ大統領の発言を差し止めさせるよう要請したことであった。
こうして世界が注目する中、トランプ大統領が5日(日本時間の6日早朝)に行った、アッパス議長とヨルダンのアブドラ国王との電話会談で、エルサレムをイスラエルの首都として認める意向を伝えたとするニュースが流れた。 早速、アッパス議長は「中東和平交渉を台無しにするものだ」と断固反対する姿勢を示し、アブドラ国王も「和平プロセス再開を目指す米の努力を台無しにする」と、トランプ大統領の発言に強く反対の姿勢を示した。
また、カイロで緊急会議を開催したアラブ連盟も、「エルサレムをイスラエルの首都と認めることは、国際法に反し地域と世界の平和や安定に深刻な脅威となるばかりか、アラブ諸国に対する挑発的な行為だ」とする声明を発表。 さらに、エジプトやEU(欧州連合)が強く反対する声明を発表する一方、フランスのエマニュエル大統領やトルコのエルドアン大統領も反対の意向を明らかにした。
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アラブ連盟会議において米国に対する非難が発表された
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トランプ大統領が正式に米国国民に向けて自身の考えを明らかにするのは、6日になるものと思われるので、我々がそれを知ることになるのは、今日の夜半過ぎとなりそうである。 アッパス議長やアブドラ国王との電話会談では、国際社会が首都と認めていないエルサレムを首都として認めることを伝えたものの、大使館のテルアビブからエルサレムへの移転については、言及しなかったようである。 6日の発表も国際社会に対する衝撃を和らげるために、同様な発言になるかもしれない。
しかし、移転の延期は一時しのぎに過ぎず、遠からずして移転を行うことは明らかである。 いずれにしろ、エルサレムの首都認定は他のいかなる国も認めておらず、エルサレム領有権問題については、イスラエルとパレスチナ自治政府同士が話し合いで決めるべきだとしているだけに、国際社会からの反発は必至である。 (午後2時半のYAHOOニュースでは、首都と認めた上で移転することを発表することになるようである)
何よりも心配なのは、イスラエルの占領に今もなお抵抗し続けているパレスチナの過激派組織であるハマスが一般住民による抵抗運動
(インティファーダ)
の再開を呼び掛けていることから、大量犠牲者が出た1987年と2000年のインティファーダの再発に進むのではないかという点である。
更にそうした動きにイスラム諸国が加わるようなことになると、新たな中東戦争へと向かう可能性が大きくなってくる。 同時に心配なのは、この機に乗じてアルカイダ系の過激派組織によるテロが中東だけでなく、世界各地で発生することである。 いずれにしろ、トランプ大統領の動きはさもなくても不安な世界情勢を一段と悪化させ、「火薬庫に火をつける」こととなりそうである。
読者におかれては、今回の米国大使館の移転問題は、中東情勢を揺るがす最重要問題であることを頭に入れておいて、これから先、中東の動きから目を離さないようにしておいて頂きたい。
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1987年と2000年のインティファーダの再発が懸念される
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アルカイダ系の過激派組織のテロガ世界各地で発生する可能性も大きい
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