復興の中でもがく国内難民650万人と
負傷者280万人
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ISに占領された地域(赤色)が減少し、解放された地域(だいだい色)が
増える中で、復興に向けての動きが始まろうとしている。 しかし前途は多難である。
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無残に破壊された商店街と居住区。 建物の撤去作業だけでも大変だ。
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家を失い家族を失った子供たちが、学校に通えるようになるのはいつの日のことだろうか。
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6年半にわたって続いてきた政府軍、反政府軍、IS(イスラム国)などが入り乱れてのシリアの内戦。 シリア第2の都市アレッポに続いて、ISが首都と位置付けているラッカ
、さらにはデリゾールの奪還がほぼ終了しようとしている。 しかし、いずれの都市もその惨状は悲惨を極めており、都市機能は完全にマヒ。 米
軍機の空爆で瓦礫と化した無残な姿は、太平洋戦争終盤の東京の街並みを思い出させる。
これから先、国づくりに向けての動きが始まることになるのだろうが、それが容易でないことは間違いない。 公共施設や病院などのライフライン
を破壊された市民も悲惨だが、国内難民と化した人々の生活はさらに大変だ。 国連の発表によると、
家を追われた国内の避難民は650万人、海外へ逃れた難民の数を足すとゆうに1000万人を上回っており、人口の半分
を超えている。
さらに障害を負った人の数は280万人、内戦以前に10%だった失業率は50%を超えており、5人に4人が貧困ライン以下の状態に陥っ
ている。 そんな状況下、先日NHKの番組・国際報道が、日本人の須崎彰子さんが所長を務める国連のUNDP(国連開発計画・シリア事務所)が、
以下の3つの計画に取り組んでいる実体を放送していた。
@ 雇用の創出
A 学校、病院、水道などのライフラインの復旧
B 憎しみと嫌悪感を増した国民間の対立を解消し、社会的融和を図る
妹と弟を養う、片足、片腕を失い片目も負傷した少年
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国連のUNDPが創設した職業訓練所で義足作りに励む少年
いつか自分自身の義足を自分で作ることが夢だと語っていた。
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その中で、最も心を打たれたのは、内戦で父と兄を失い、自分自身も事故で片足と片腕を失い目も片目を負傷した16歳の少年ムッタセム君が
、UNDPの障害者向けの職業訓練所で訓練を受け、母親と幼い弟や妹たちを支えていこうとしている痛ましい姿であった。
空爆で母親を目の前で亡くした幼い少年が、搬送された病院で口と鼻から大量の血を流しながら「お母さんはどこ!お母さんはどこ!」と泣き叫ぶ姿に心がかきむしられたことは、「シリア・アレッポの悲劇」で記した通りである。
また父親と兄弟が殺され、母親と5人の姉妹と一緒に隣国レバノンに逃れてきた10代の少年が職に就けず、家族を養うために臓器売買の闇商人に腎臓を売った後、激しい痛みに襲われ続けている悲惨な姿に心がえぐられたことは、「シリア難民の悲惨な実態」に記した通りである。
そして今回は、片足と片腕を失い、さらに片目も失明しそうな、まさに半身不随の少年が、幼い弟や妹たちを支えるために職業訓練所で厳しい訓練を受けている映像に、またもや心がえぐられ
るところとなった。
「シリア・アレッポの悲劇」の記事
を記したのは3月31日、「シリア難民の悲惨な実態」は6月29日、そして
今回
、この記事を書いているのが10月の始め、まるで計ったかのように3ヵ月ごとの掲載となった。 まるで、天が戦争の悲惨さを忘れるでないぞ、読者にしっかり伝えるのだと、諭して下さっているようである。 暗い記事の連載で申し訳ないが、私のお役目だと思っ
て記しているのでお許し頂きたい。
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片腕で義足作りに励む少年。 失った片腕が左腕であったことは不幸中の幸いであった。
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