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血みどろになった子供たち
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サウジアラビアとAIU(アラブ首長国連合)が主導する政府軍とイランが支援する反政府軍との間で繰り広げられている内戦が、3年以上にわたって続くイエメン。 その惨状は何回かお伝えしてきたように、800万人が飢餓に直面し、コレラの患者数100万人、そして、死者の数は数千人に達している。
9日、そんなイエメンの北西部サアダで、悲劇的な惨禍が発生した。 政府軍が課外学習に向かうため15歳以下の子供たちを乗せたバスをミサイル攻撃し、少なくとも30人ほどの子供たちとバスの近くにいた人々や商店街の人々20人など合わせて50人が死亡。
そんなニュースが世界を駆け巡ったが、中でもカタール・アルジャジーラが伝えた生々しい惨状は、まさに目を覆いたくなるような衝撃的なものであった。 政府軍は米国や英国、フランスなどが支援しており、武器や弾丸を提供している。
今回の攻撃に対して支援国からのコメントは出ていないが、政府軍は爆撃を認めた上で、反政府軍が子供を盾に利用しているために、こうして結果になったもので、自分たちの攻撃は正当な軍事行動であったと述べている。 子供たちが乗ったバスを攻撃しておいて、なにが正当な攻撃であるものか、呆れて物が言えない。
国連の担当者は、このまま政治的な解決策が見つからねば、イエメンは崩壊に直面し、国民は多大なる人道的苦しみにさらされることになるため、9月6日に予定している和平会議において、何としても休戦への道筋を作らねばならないと述べている。
しかし、戦闘を主導しているサウジアラビアやイラン、また、支援国家である米国や英国、フランスなどが、互いに自己主張を続けている現状では、和平への動きは容易ではなさそうである。
もしも、国家崩壊に直面した時には、イエメンはアルカイダやIS(イスラム国)の活動の拠点となり、悲惨な状況はさらに深まることは避けられない。 そしてそれは中東諸国全体に悪影響を及ぼし、シリアやイラク、アフガニスタン情勢をさらに厳しい状況に導くことになる。 その先に待っているのは地獄、まさに地獄である。