ミャンマー政府とバングラディシュ政府の間で、ロヒンギャ難民をミャンマーに戻すことで合意が成立してから丸1年。 しかし、今もなお帰還はほとんど出来ておらず、70万人を超す難民たちは、猛暑の中、一時的に設置されたキャンプでの厳しい生活が続いている。
狭い建物やテントの中ですし詰め状態で暮らす人々の中には、暑さで病気になる人々が増え続けており、子供たちも自由に動き回ることが出来ずにいる。 なぜ合意から1年も経過しているというのに、一向に帰還が進められていないのか? その主な要因は次の2点
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@ ミャンマー政府が帰還に真剣に取り組んでおらず、焼かれた難民たちの家屋の復旧が
進んでいないため。
A 信仰心の深い仏教徒でありながら、ミャンマー国民のロヒンギャ族に対する嫌悪感や
憎悪感は今もなお変わっていないため、難民たちは戻ったら殺されてしまうという
強い恐怖感を、今もなお持ち続けているため。
一方、避難先となっているバングラディシュも、1億6000万人の人口を抱える人口過多の国であるため、いつまでも避難を受け入れ続けているわけにはいかない事情がある。 キャンプの設置のために広く森林
が伐採され、キャンプ地周辺の住民と避難民たちとの間に、軋轢も増してきており、両者間のトラブルも起きて来ているようである。
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昨日から始まった国連安全保障理事会。 いかなる結果が出るか注目である。
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そのため、難民の中にはミャンマーへの帰還を避けて、マレーシアなどに移ろうとする人々が増えている。 しかし、マレーシアに移住したからと言って
安全な生活が保障されているわけではなく、就職先や子供の教育の問題など様々な難問が待ち構えていることには変わりはない。
こうした状況を考えると、世界で最も迫害されたと言われているロヒンギャの人々の厳しい状況は、これから先もさらに続くことになりそうである。
昨日から国連安全保障理事会が開かれ、ミャンマー政府に対する訴追問題やロヒンギャの難民に対する支援問題が討議され始めているが、どこまで国際的な協力と支援が出来るか不透明である。
地球がこれから先どこまで耐えうるかは分からないが、今後、世界的規模で想像を絶する巨大災害や大規模な内戦、動乱が発生する可能性は大である。 その結果、これまで難民・移民問題は他人事と考えていた国々でも、我が身の問題となって来る。
現在、ドイツやイタリア、スペインなどEU各国では、難民・移民とその受け入れ国側の市民との間の対立が一段と激しさを増してきているが、その先に待ち構えているのは、政情不安と国民同士の対立である。 中国や朝鮮半島からの避難民の発生は、島国である我が国とてその影響は大である。 文字通り明日は我が身、心しておきたいものである。