先般、「プラスチックによる海水汚染の危機」で世界中の国々から廃棄されたプラスチックごみが山となり、やがて海に流れ込んでその多くが微細化され「マイクロプラスチック」となっている恐ろしい実体を記した。 相当ショッキングな記事だった
ので、よもや読者は忘れてはいまい。
太陽光や波によって微小化され海底近くを漂っているマイクロプラスチックは、小魚に食べられ、それは中型魚、大型魚を経由して我々人類の食するところとなるのである。
また、オランダのフラネカー博士らの研究によると、90%の海鳥がプラスチックごみを、えさと間違えて食べているようである。
そのため、胃のスペースがプラスチックに占められ、およそ100万羽の海鳥が餓死している可能性があるという。 このように海の生態系への直接的な影響も出ているようである。
こうしたニュースが世界に広まったこともあり、世界各国でプラスチックの廃棄に関心が深まり、ジュース類を飲む時などに使われるストローなどのプラスチック類の使用を禁止する動きや、使い捨てになっているプラスチック類の廃棄に対する厳しい法律の
制定気運が強まって来ている。
先月、カナダで開かれた主要7ヶ国首脳会談でも、使い捨てプラの使用を大幅に削減することや、リサイクルなどの数値目標を掲げた「海洋プラスチック憲章」が議論されるところとなった
のも、そうした流れを反映したものであった。 しかし、なんとも残念なことに、その憲章の署名を拒否した国があった。 それは我が国と米国であったのだ。
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G7でメルケル首相の説得に聞き入る、安部とトランプの
仲良しコンビ。 腕を組んでいるのはこの二人だけ。 |
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なんともはや恥ずかしい限りであるが、実は、トランプと安部という
たぐいまれな指導者によって署名を拒否した二つの国が、一人当たりの使い捨てプラスティックゴミの発生が世界の1位と2位を占めていたのだ。 国連環境計画(UNEP)によると、使い捨てプラゴミを最も多く出しているのは中国で4000万トン(2014年のデーター)であるが、一人当たりに換算すると日本は約32キロで2位、1位の米国は45キロ
で、中国は28キロ。
なんとも情けない話であるが、安部という男が首相としてやって来たことは、これだけではない。 世界で唯一の被爆国であるというのに、核兵器禁止条約に我が国は米国と一緒に加盟することを拒否したのである。
原子爆弾を実戦に利用した米国とその被爆国が心を一つにして核廃絶を拒んでいるのだからなんともはや驚きである。 条約の内容に問題があるとする意見もあるが、欧州などから見たら、日本はただ米国にすり寄っているとしかみえていないに違いない。 なんともはや、恥ずかしい限りである。
成長戦略の目玉にするという大義名分の下、国民にギャンブル依存症を生むことになる「カジノ法案」を成立させ、政府公認の賭博場を開設するのに注力する時間があったら、
もっともっと、プラゴミと核の廃絶に力を注いだらどうだ。 しかし、そんな首相や政府をいつまでものさばらしているのは、我々国民自身であることも確かである。
今や世界各国では首相や大統領の言動に対する様々なデモやストライキなどの抗議活動が頻繁に起きている。
欧米から中東に至るまで世界のテレビはその様子を伝えている。 しかし、我が国においてはそうした政治に対する大規模な抗議活動などほとんど目にしたことがない。
一見、穏やかで平穏な国であるように見えるが、その実態は国民の魂がふぬけになってしまっているだけかもしれない。 どうやら、かっての神国日本を担ってきた大和魂は完全に腑抜けとなり、富と利便性を求め
、今さえよければ、自分さえよければの、刹那的で自己中心的な風潮が蔓延してしまったようだ。