過熱する一方の米中の貿易摩擦については、先日6日付の記事「拡大する一方の貿易摩擦」でお知らせしたばかりであるが、あれから1週間もたたない本日、再び追加情報を記すこととなった。 NATO首脳会議に出席する前に、トランプ大統領が中国に対して新たに追加課税を課す意向を明らかにしたからである。
米国はこれまでに2回にわたって輸入品目360億ドルと160億ドル分に25%の課税を追加課税することを発表し、第1弾品目については既に実行に移して来ていたが、10日に発表された追加課税は10%と低い数値であったものの、輸入品目の対象は6031品目と多く、その額は2000億ドル(22兆円)に達する巨大な額であった。
これまでの課税の対象となる品目は、ハイテク商品や自動車など高額な商品が主要な品目であったが、今回は豚肉やウナギなどの食料品や衣類、家具、カバン、冷蔵庫など一般家庭で消費するものが中心となっているだけに、これらの品物の値段が上がり消費者に負担がかかることになるため、市民からの不満が出る可能性がありそうである。
今回の課税措置が実際に実行に移されるのは9月以降になりそうであるが、中国政府は実行された場合は直ちに同じレベルの対応措置を取ることを明らかにしている。 問題は中国が米国から輸入している貿易額は約1500億ドルしかなく、既にこれまでに500億ドルの輸入品に報復措置を取ることにしているため、追加課税出来る額は1000億ドルしかない点である。
したがって、米国の課す2000億ドル分に対応するためには、課税率を米国の課した10%より高率の20%にするか、米国商品に対する不買運動を広げるか、米国企業の中国への進出の許認可を大幅に制限する措置などを取らざるを得なくなってくる。
そうなったら両国間の関係が一気に悪化することは避けられず、まさに貿易戦争と化すことになりそうである。 さらに心配なのは、トランプ大統領の次のような発言である。 「今回の米国の課税にもしも中国が報復してきた時には、さらに2000億ドル分を上乗せし、最大で4500億ドル、場合によってはその額を5000億ドルにまで引き上げる可能性がある」。
今回の一連の関税上乗せの措置は、11月に行われる中間選挙を意識してのものであることを考えると、そうした追加課税措置は中国の対応次第では秋10月までに実施されることになりそうである。 そうなると、年末にかけて米中間の亀裂は一段と深まることになるかもしれない。 要注意である。
下に米中間の貿易額と一連の高関税措置について、読者に理解して頂くために一覧表にまとめたので参考にして頂きたい。
なお数値に関しては12日付の朝日新聞のデーターを参考にさせて頂いており、NHKの伝えたデーターと一部異なる点があることをご承知頂きたい。
中国からの輸入額
5056億ドル
|
貿易額 |
米国からの輸入額
訳1539億ドル
|
|
|
|
6月に発動した課税金額
340億ドル(818品目) |
第1弾 |
報復課税金額
340億ドル( 545品目) |
|
|
|
7月に発動される課税金額
160億ドル(284品目) |
第2弾 |
報復予定課税金額
160億ドル |
|
|
|
今回発表した追加課税金額
2000億ドル(6031品目 |
第3弾 |
残された課税金額
1039億ドル |
|
|
|
さらに追加すると示唆している課税金額
2000〜2500億ドル |
今後 |
? |
|
|
|