ジャーナリストのジャマル・カショギ氏の殺害を巡って今世界は揺れているが、23日、日本時間の夕方、トルコのエルドアン大統領がこれまでの調査結果を発表するようなので、その内容によってはサウジアラビア政府に対して、欧米各国から厳しい批判と制裁が発表されることになりそうである。
そんな状況下、今度はトランプ大統領の発言が、世界に新たな「核の脅威」を呼び起こすことになろうとしている。 中でもヨーロッパの人々の恐怖心は大きいようだ。 それは米国が約30年前に旧ソ連と結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約を近く破棄するという内容のものである。
INF全廃条約は当時の米ソ両国のトップであったレーガン大統領と
ゴルバチョフ大統領が交わした条約で、射程距離500キロから5500キロまでの核弾頭搭載可能な地上発射型弾道ミサイルと、巡航ミサイルの保持や試験を禁止したものである。この条約の批准によって米ソ併せて約4000発の中距離ミサイルが廃棄されたのである。
トランプ大統領が今回、条約破棄を言い出した理由は、ロシアがこの条約に違反しているからとされているが、本当の理由は、軍事力の拡大を急速に始めている中国が、最近、中距離ミサイルの製造に力を注ぎ出しているからである。
今回のトランプ大統領の発言に対して、ロシア政府は強い反発を示している。 しかし、プーチン大統領が米国の離脱発言をよい機会として、条約破棄に向かって動き出す可能性が高いのだ。 というのは、こうした米国の中国に対する憂慮は、実はロシア政府も同様に抱いており、この条約にとらわれていると、中国に対する対抗措置がとれないという点では、米ソ両国政府の思いは一緒であるからである。
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ロシアの中距離弾道ミサイルが欧州の国々にとって再び脅威となろうとしている。
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実は今回の条約破棄が行われることを一番恐れているのはEU諸国である。 5000キロの射程距離はEU諸国全域がロシアからの射程距離に入るからである。 それだけにEU諸国にとっては条約破棄は絶対に阻止したいところであるが、当事者の米ソ両国の思惑が一致してしまっては止めようもない。
しかし、恐れるのはEU諸国だけではなく、全世界の国々であり、全人類であるのだ。 なぜなら、もしもヨーロッパに核弾道が打ち込まれることになったら、それは即、世界全体が核戦争に巻き込まれることになるからである。 そうなったら、我々人類は皆チリと化してしまうことになのだ。
ここで思い出されるのがトランプ大統領が先に行った小型核爆弾の製造命令である。 北朝鮮を脅かすには核を一発お見舞いするのが一番だと考えた彼は、専門家からその威力の凄さを聞いて、通常の核弾道は使えないと思ったようである。 それなら使える核を製造たらどうか、そう考えた結果が小型の核爆弾の製造命令であったのだ。
それなら、長崎や広島に投下された核の3分の1程度の威力なので、相手を威嚇するには十分使えるのではないかと考えたようである。 そして今米国ではその製造に入っており、そう遠からずのうちに完成することになりそうである。
使える核を造るということは、それが実際に用意されたら使うことになる可能性は大である。 とすると、トランプ大統領が製造を命じた核爆弾は恐ろしい結果を生むことになる可能性は大である。 どうやら、我々人類はアセンションを前にした今、再び核の脅威にさらされることとなったようである。