「米中の関税合戦更に進む」で記したように、米国と中国の関税合戦は双方から第
1〜3弾が発令され、米国がこれまでに発令した関税対象額の総額は2500億ドル(約28兆円)。
その額は中国からの昨年の輸入額の約半分に達した。
中国にとって最大の輸出国である米国が課した関税は中国にとって大きな打撃になるであろうことは、既にお伝えしてきた通りである。 160億ドル(約1兆
8000億円)の関税上乗せが最初に発動されたのは今年の4月。 それから半年が経過した今、
実は中国経済に対する影響が既に数値で表れ始めて来ているのである。
米国が狙い撃ちした産業用ロボットと半導体、工作機械、自動車用部品等の伸び率は春先まで年率30~40%という高い数値となっていた。 まさに中国経済成長のけん引力となっていたのである。 それが8月
に入ってから一気に状況が悪化し、一桁台に鈍化。 さらに工作機械、自動車用部品に至っては、前年比マイナスに転落するところとなったのである。
さらに、7月に発動された500億ドル(5兆6000億円)と9月に発動した2000億ドル(22兆4000億円)の影響はこれから先に出て来るのだ。
これらの課税対象商品は日用雑貨や玩具、家電製品など米国全土で売られている庶民向けの商品である。
そして、これらの商品の生産者の多くは広東省、福建省
、浙江省などの民間の中小企業や零細企業である。 彼らは輸出が経営の柱になっているため、米国からの買い付けが止まればその影響は大である。
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10月9日に北京で行われたポンペイオ国務長官と中国の王毅外相との
会談は、貿易戦争について非難の応酬となり、これから先の米中の
貿易戦争の本格化を暗示する厳しい対談となった。 |
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さらに、9月に追加発動した2000億ドル
については税率は10%と抑えられているが、来年1月にはその税率が25%へと引き上げられる可能性が大きいので、その影響が出てくる来春以降
には、中小企業や零細企業だけでなく多くの企業が経営破綻へと追い込まれる可能性は大きそうだ。
それを裏付けるように、中国の政府系シンクタンク(国務院発展研究シンクタンク)の研究員は、「習近平政権はトランプ政権に対して一歩も退かない姿勢を貫くであろう。 その結果、中国の製造業は大手から中小・零細の部品メーカーまで
、津波のような打撃を受けることになる」と語っている。
そうなれば、中国共産党にとって重要な一部の企業や金融機関は人民銀行による特別融資によって救済されるだろうが、他の中小や零細企業は次々と倒産し、路頭に迷う人々が続出することになりそうである。 そこで習近平政権が打つ次の一手は「超金融緩和」政策、つまり金利の引き下げである。
その結果、通貨・元安となり、中国経済は「最後で最大の不動産バブル
」に突入することになる。 既に中国の企業が抱えた借金の総額は2000兆円に達しているのだから、バブルの崩壊がもたらすショックは甚大だ。 その後に待ち受けているのは金融恐慌であり、早ければ来年の年末前後にはその兆しが見え始めるかもしれない。
それは、世界の経済や政治情勢に危機的状況をもたらすと同時に、中国国内においては全国規模のデモや暴動を引き起こし、共産党政権を崩壊へと導くきっかけとなるに違いない。
それは、2002年に貴州省の山奥の景勝地で発見された重さ100トンの石に刻まれた「中国共産党(滅)亡」の文字が現実となる時である。
これから先の中国の政治と経済情勢からは目を離さないでおいて頂きたい。
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「中国共産党亡」の6文字が刻まれた巨石。 最近の習近平政権の政策を
見ていると、石に刻まれた共産党政権の崩壊が刻々と近づいているようだ。
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