前回「消えゆく木々が「時の到来」を教えている」で、いま地球の美しい景観を
守っている木々が人間の手により次々と切り倒され、焼かれて、絶滅へと向かっている状況をお伝えした。 その典型的な例がアフリカ半島西に浮かぶマダガスカル島であり、南米大陸のアマゾン一帯であり、インドネシアのスマトラ島である
。
そんな記事を記した直後にオーストラリアのABCニュースが、オーストラリアでもまたそれらの地域と同様、大量の木々が消滅し絶滅へと向かっていることを伝えていた。 その要因となっているのは農業
を拡大するための開墾で、次々と森林が焼かれていることであった。
ABCニュースはこうした森林の消失により世界の「野生生物」が絶滅へと向かっており、WWF(世界自然基金)が発表した最新の数値によると、この40年間での野生生物の減少が既に60%に達しているという
衝撃的な情報を伝えていた。
減少の要因はこの他にも、カネを目当てにした野生動物の殺傷や法を破った魚の乱獲、気候変動、さらには7月18日付の記事「プラスチックごみ廃棄の実態」で記した
プラスチックごみの海への放棄による環境汚染など様々だが、陸上の野生生物減少の最大の要因となっているのは森林の消滅であるようだ。
もしも、このまま森林の消失が進み続けるならば、我々人類はそう遠からずして「野生生物」の姿を目にすることが出来なくなってしまいそうである。 私が住む八ヶ岳山麓一帯で
も別荘地の拡大や太陽光パネルの設置のために森林が伐採される状況が続いており、シカやイノシシなどの野生生物が住宅街に出没し狩猟されてその数を減らしている。
そんな状況下、WWFが警報を発したのは、中国政府が医学研究や治療を目的にした、サイの角やトラの骨を使うことを認めるとする驚きの発表であった。 このようなことが中国のような大国で許されるなら、サイやトラなどの野生動物が遠からずして地上から姿を消すことになるのは明らかである。
どうやら人類はこうして自然を破壊し、長い間共に暮らしてきた多くの動物たちの命を奪い、気がついた時には自分自身の住む場の無くなっていることになるのだ。 なんともはや愚かなことであるが、それが我々人類が為してきた実際の姿なのである。