欧州各国に降りかかって来たISの火の粉
 

 


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欧州各国に降りかかって来たISの火の粉
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IS戦闘員帰国に苦悩する欧州各国

 
 

 
 


世界中から参加した戦闘員で膨れ上がったIS(イスラム国)。そのISが
衰退し母国に戻ろうとしている戦闘員は、出身国に苦悩をもたらしている。

 
 

先般、トランプ大統領がツイッターでEU(欧州連合)各国、特に英国、フランス、ドイツを名指しして、「シリアで拘束中のIS(イスラム国)戦闘員800人の身柄を引き取り、裁判にかけるように」と要請したことを覚えておられるだろうか。

大統領のこの発言は、シリアへ出国しIS(イスラム国)の戦闘員となった者をたくさん抱える国々に、大きな衝撃を与えている。対象となる戦闘員はEU全体で5000人を超しており、30%は既に帰国しているが残りの3500人の内、既に戦闘で死亡した1000人を除く2500人が現在もシリアに残っているからである。

2500人の内トランプ大統領の言うシリアで拘束されている者の数は約800人。当面引き取って裁判にかけねばならないのはこの800人であるが、いずれ残りの1700人の多くは帰国することになるはずだけに、その処理についても問題だ。

国連の報告書によると、IS(イスラム国)に参加するためにシリアとイラクに渡った外国人の戦闘員は、これまでに110ヵ国からの4万人に達している。その内、ヨーロッパ議会の報告書によると、欧州からは5000人が渡っており、その内訳は次のようになっている。

   フランス:1900人。 ドイツ:1000人。 イギリス:800人。 
   ベルギー:400人。

各国が頭を悩ましているのには幾つかの問題点があり、その要点をまとめると次のようになる。どうやら、遠い中東の問題であったIS問題は今や欧州諸国にとって、目の前のたんこぶと化して来たようである

@ 裁判の困難

  拘束者を引き取った後で裁判にかける際に、彼らのシリアでの活動の詳細を知ることが
    困難である点である。そのため、自国で裁判にかけようとすると、一人当たり
  5000万円ほどの経費が必要とされるため、百人を超す拘束者を裁判にかけようと
  すると膨大な経費が掛かることになってしまう。

A 治安上の脅威

  一方拘束されていない戦闘員がこれから先帰国した際には、自国内で新たなテロを
  引き起こす可能性が大きいという点である。現にフランスなどでこれまでに起きている
  テロを見れば、そう簡単に帰国を認めることが出来なくなる可能性は大である。
     

 

ISに参加の英少女、帰国希望も「国籍はく奪」

 
 

 
 


4年前に英国からシリアに渡り、ISに参加したシャミマ・ベガム(19歳)さん。
戦地で生んだ子供と一緒に帰国を望んでいるが、入国は難しそうである。

 
 

こうした難問が待ち構えていることから、トランプ大統領の要請を素直に受け入れ自国で裁判にかけようとする国はなさそうである。フランスのように1900人もの戦闘員を抱える国では、国民から裁判を行うこと自体に強い反発の声が上がっている。 まだドイツ政府内でもトランプ大統領の要請は受け入れられないとする意見が出ている。

一方、戦闘員が自主的に帰国を希望した際に入国を受け入れるかどうかも判断が難しそうで、その事例が800人の戦闘員が出国したイギリスで表面化している。今イギリスで問題となっているのがシャミマ・ベガム(19歳)さんである。 

彼女が4年前にイギリスからシリアにわたりIS(イスラム国)に参加したことは、「15歳の若い女性がISに参加」として大きくニュースで取り上げられて世界中に伝えられたので、読者も記憶しておられるのではないだろうか。

ベガムさんはその後ISの戦闘員と結婚し子供をもうけ、現在シリアの難民キャンプにいることが確認されている。彼女は子供と一緒にイギリスへの帰国を希望しているようであるが、先日、イギリス内務省のジャビド内相は、ベガムさんの国籍をはく奪しした決定文書を家族に送ったことを発表。 これに対してベガムさんは「国籍はく奪は不当なことで、そんなことは出来ないと思います」と語っているが、国民からの反発もあり入国は容易ではなさそうである。

実は時を同じくして、6月20日、トランプ大統領もISに加わったアラバマ州出身の女性の帰国を認めない考えを発表している。彼女はベガムさんと違ってISに対して「本来のイスラムとは違っていた」と参加を悔いる発言をしている。しかし、トランプ大統領からの入国許可を得ることは容易ではなさそうである。

いずれにしろ、欧州各国はこれから先、裁判の手続きや経費の問題、テロ対策問題、国籍はく奪問題などから、IS戦闘員のシリアやイラクなどからの帰還に関しては、難問に遭遇し、さもなくても二分し始めた世論をさらに激しく二分化させることになりそうである。

「闇の勢力」と繋がるイスラエルと米国の一部の勢力が誕生させたIS(イスラム国)。直接の被害国はシリアやイラクなど中東諸国であるが、今やその後始末が欧州各国に回って来たというわけである。 もしかすると、IS戦闘員の帰国問題はEU分裂の新たな火種となるかもしれない。

 
 

 
 


シャミマ・ベガムさんの国籍はく奪を発表するジャビド内相

 
 
 

 




 

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