非核化の実現は困難
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今夜から始まる米朝首脳会談の成果は?
行われる国がかって米国がたくさんのベトナム兵を殺害し、恐ろしい枯れ葉剤を散布した戦場であることを考えると、会談が米国にとって良き結果となる可能性は小さそうだ。 |
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昨年6月のシンガポールで行われた米朝首脳会談から8ヶ月、再び世界のマスコミは、今日から2日間、ベトナムのハノイで行われる2回目の米朝首脳会談
に注目している。ただ前回と違って会談の目的である朝鮮半島の完全な非核化の実現については、冷ややかな見方をしており、前回の会談で
期待された「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」
については、一言も触れなくなってしまった。
今回の会談で非核化へ向けた前向きな合意が為されるであろうか。私は100%不可能だと思っている。昨日まで行われてきた事務レベルでの会談で大きな進展が見られなかったこともその理由の一つであるが、一番の理由は、完全な非核化は金正恩(キムジョンウン)労働党委員長にとって絶対に認められない一線であるからである。
財政的にも恵まれない朝鮮半島の小国・北朝鮮が核爆弾やミサイルを開発し、今や米国をも射程圏内に入れるICBM(大陸弾道ミサイル)の完成目前にまで来ているのは、かってリビアで、核開発を放棄した後
に欧米の支援を受けた反体制派に打倒されて、命を失ったカダフィ大佐の二の舞になることを
、何よりも恐れているかである。
だからこそ、金一族が金日成、金正日、金正恩主席と3代にわたって、核とミサイル開発を最大の政策として推し進めて来たのである。
だからこそ、米国が求める核関連施設の全リストや廃棄の工程表の提出に対して、先般の韓国との首脳会談において、それは米国による我が国の攻撃目標リストを提出しろということではないかと、強い不満を吐露しているのである。
米朝首脳会談開催のトランプ大統領の真の目的が、次なる大統領選挙における勝利であることは明かだけに、合意なき会談は避けねばならない。そのために彼が考えていることは非核化の合意を急がず、これから先、段階的に進めて行く道を選ぶことである。一方、金正恩・労働党委員長はそこをついて
、少しばかりの譲歩に見せては、その都度「見返り」を得ようとするに違いない。
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列車で4000キロを移動してきたキム委員長 ( フランスF2)
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大統領専用機で20時間かけてハノイ入りしたトランプ大統領
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私は金正恩委員長がトランプ大統領との会談を続ける真の目的は、時を先延ばしすることではないかと思っている。ほぼ完成間近に迫った核とミサイルを完全なものにするための開発が、今もなお続けられていることを考えればそれは明らかだ。
それを裏付けるように米国の情報機関は最近の衛星写真を公開し、核施設は現在も稼働中でその規模も拡張されており、ミサイル開発もその精度を上げるために研究が続けられていることを確認している、とする情報を流している。
金正恩委員長はは完全な核開発と、米国を射影圏内に入れたミサイル(ICBM)が技術的に完成した段階で、トランプ政権は約束を守らず制裁と圧力をかけ続けている、として対話を放棄することになるかもしれない。そして、密かに開発を続けてきた核とミサイルの完成を世に知らしめるために、正々堂々と発射実験を行うことになるのではなかろうか。
米国を射程圏に入れた核とミサイルを保有することが出来たら、
プーチン大統領と周近平主席を見方につけた金正恩委員長にとって、もはや怖いものなしである。もしも、トランプ政府による金政権打倒の動きが見えたら、核攻撃の脅しを使うことが出来るからである。
実際にアジア圏の米軍施設に一発や二発の核ミサイルを撃ち込むことぐらいするかもしれない。彼はそれだけの決断力を持った男なのだ。イスラエルの予言でイスラエルを滅ぼすのは北朝鮮であると伝えられているのは
、それを示唆しているのかもしれない。
それでは日本時間の今夜から行われる今日、明日の米朝首脳会談の行方を見守ることにしよう。
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核開発とミサイル研究が現在も続けられている北朝鮮の隠された施設
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