イランの核関連施設の火災にイスラエルが関与
米国・ニューヨーク・タイムズが報道
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火災が発生した建物。一見、木造のちゃちな建物に見えるが、
実は、イランにとって最重要な核関連施設の一部である。
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これから先、戦火の発生が心配されている中東エリア
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我が国のマスコミはあまり大きく取り上げていなかったので、読者は記憶していないかもしれないが、私には中東における新たな火種となりかねないとして、気になるニュースがあった。それは7月2日、イラン中部のナタンズで発生した核開発施設の火災事故である。
イラン原子力庁はこの火災について、建物はウラン濃縮に使う遠心分離機の開発施設で、建物の一部が被害を受けたが人的被害はなく、核燃料は保管していなかったので放射能汚染の心配はないと語った後、核開発に遅れが生じることになることは確かだという認識を示していた。
その後、米国の有力紙「ニューヨークタイムズ」紙は中東の情報機関の話として、今回の火災発生に関してはイスラエルが関与していたという見方を
、大きく伝えていた。イランでは先月下旬にも
、首都テヘラン郊外の軍事施設で大規模な爆発が起きるなど不可解な事故が相次いでいるだけに、今後のイランの動向が気になるところである。
イスラエルにとって最大の敵対国はイランであり、その核開発については最大の関心事であることは誰もが知っていることである。その核開発を阻止するために行われたのが、2010年に米国と一緒に行った
コンピューターウイルスによるサイバー攻撃であった。
その結果、ウラン濃縮施設の遠心分離機の一部が使用不能に追い込まれ、核開発が遅れた経緯がある。
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2010年に行われたサイバー攻撃で使用不能となったとされる遠心分離機
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それだけに、今回のイランの核開発施設で発生した火災についても、イスラエルが関与していた可能性は大である。それは誰もが危惧していたことであったが、米国の有力紙がそうした見方を伝えたことによって、イランによる報復の可能性はさらに増すことになりそうである。
イスラエルのガンツ国防相は、5日、自国の関与については言及を避けつつも、「イランの核武装を防ぐためには、あらゆる行動をとる」と発言し、これから先も同様な行動をとるぞと脅迫的な発言をしていた。
それにしても、自国が核爆弾や核兵器を保持していることは棚に上げて、他国が同じことをしようとするのには反対し、それをサイバー攻撃などによって阻止しようとする
行為は、なんとも解せぬことである。
今イランは、イスラエルと強い同盟関係にある米国から厳しい経済制裁を受けており、外貨獲得の手段である石油の輸出が抑えられて通貨が下落
。その結果、国民は経済的に極めて厳しい状況に置かれている。
イラン政府はそれに対抗するために核開発に力を入れているだけに、今回のような攻撃が繰り返されるようなら、
これから先、イラン対イスラエルの関係は一段と悪化し、新たな中東戦争へと進むことになるかもしれず、心配である。
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