カリフォルニア州一帯の山火事については、既に7回にわたって掲載してきた。最初の掲載日は出火から2日後の8月15日の記事「次々とカルマの刈り取りが続く米国の惨状」であった。ところが我が国のマスコミは私の知る限りでは、そうしたニュースを全く伝えておらず、昨日13日になってようやく朝日新聞で一面に掲載された。なんと私の掲載日から1カ月も経過した後であった。
大統領の発言や黒人蔑視に対する抗議デモなどの様子は毎日のように報道しているが、自然災害に関する情報は無視したままで、今頃になってようやく伝えているのである。それがマスコミの実体なのだ。それでも一面に掲載しているところを見ると、さすがに厳しい状況だと感じたようであるが、それにしても遅過ぎはしまいか。
現地時間で昨夜放送されたABCニュースは、カリフォルニア、オレゴン、ワシントン3州で30人以上が死亡し、行方不明者も多数発生、東京都の6倍を超える125万ヘクタールが延焼し、4万人が自宅を離れ、50万人以上に避難命令が出されている事態を伝えていた。
今回掲載させて頂いた、何十棟もの住宅が全焼した光景や世界で一番美しい橋と言われている全長2737mのサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジが煙に包まれている写真を見ると、とても山火事とは思えなくなってくる。既に大都市サンフランシスコ近郊にまで迫って来ているのである。
実は6月6日あたりからゴールデンゲートブリッジを中心に広い範囲で、かなりの音量で奇妙な音が響くようになってきていたようである。橋の担当者は橋の改修プロジェクトによって鳴るようになったものであると、声明を発表しているが、天からの警報の一つだったのかもしれない。
カリフォルニア州のニューサム知事が「気候変動が起きているか否かという議論はもう終わりだ。疑問に思うなら、カリフォルニア州に来て自分の目で確かめるといい」と語っておられたのが印象的であった。既に気候変動の勢いはここまで拡大してきているのだ。
科学技術の発展でヘリコプタ―等を使っての消火能力がいかに進んで来ているとはいえ、自然の猛威の前には、人間の力などとても及ぶものではないことを考えると、これから先の惨状が目に浮かんでくるようようである。
トランプ大統領はようやく重い腰を上げて、14日にカリフォルニア州を慰問することになったようだが、それに際してまたまたバカな発言をしていた。カリフォルニア州が火災発生の環境を生み出しているとして、「(カリフォルニア州は)われわれの意見を聞かないため、代償を払わせる必要があるだろう」と。
どう考えても、覇権国家のトップのする発言ではない。こんな発言が何度も繰り返されているというのに、米国国民は恥ずかしく思わないのだろうか。なんともはや情けない限りであるが、これが終末を迎えようとしている米国の実情であるのだ。