7月28日付の記事「三峡ダム崩壊までの水位あと12mに迫る」で、長江(揚子江)中流域の湖北省にある「三峡ダム」の水位が最高水位であるで175mまで12mまで迫っており、3万8000トンの水を流して水位調整に当たっているが、流入量は1秒当たり6万トンに達しており、排出量の倍近くに達しているので心配であることを、お伝えした。
其の後、雨の量は小康状態を保っていたこともあって、最高水位は減少していたようであるが、昨日のヤフーのニュースでは、ここ数日、四川省など長江上流域の各地で大雨が続き、三峡ダムに流れ込む水量が20日朝、過去最大規模の毎秒7万5000トンに達し、建設以来最大規模となっていることを伝えていた。
水位当局は放水量を1万トン増やして4万8000トンとしているようであるが、これでは、毎秒2万7000トンの水が増加することになる。
その結果、水位は昨日の段階で166mまで上昇し、最高位まであとわずか9mまで迫っているため、ダム決壊の危険度は一段と高まってきているようである。
そうした状況を受け、
長江河川水資源委員会は、三峡ダム貯水池を含む上流と中流域にある41カ所の貯水池すべてに、貯水量を調整して洪水に対処するよう連続して9通の指令を発出しているようであるが、この程度のことで最高位の175m突破を防ぐことが出来るか不安である。
習近平主席も危機感を感じているようで、18〜19日には既に大規模な洪水に見舞われている長江下流域の安徽省の被災地を視察し、救助活動中に亡くなった消防隊員らの遺族や被災者を慰問しているようである。
4万8000トンの放水量は下流域の被災地にとっては、被災状況に追い打ちをかけることになるため、住民の政府への不満はさらに増すことは避けられず、習近平政権にとって頭の痛いところである。
万一、三峡ダムの決壊が現実となった時には、数千キロにわたる長江流域で生産されている米作は、中国全体の生産量の70%を占めているだけに、共産党政権にとって致命的な打撃となることは必至である。その時には、2002年に発見された巨岩に描かれていた「中国共産党亡」の6文字が、現実となるのではなかろうか。
ふんにょう