コロナ禍の中で高止まりする株価の真相
明らかにされていない景気低迷と失業者の実体
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総務省発表の失業者数の中には、「日雇い労働者」等の失業者は含まれていない。
実際の失業者数はこうした数値より、はるかに多くなって来ているようである。 |
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米国におけるコロナの感染者数がとうとう600万人に達し、死者数も18万人を超えて来た。そうした状況下で米国のダウ平均値は最高値を狙い,日経平均もその後を追うという異常な状況が発生している。
25日の日経平均株価は一時400円超上昇し、新型コロナウイルスの影響による急落前の2月21日の水準(2万3386円)を一時上回るところまで値を戻している。前日の米国の株価
・ダウ平均が約半年ぶりの高値を付け、ハイテク株の多いナスダック総合指数が史上最高値を更新した流れを受けてのものであった。
米国市場も我が国市場もまさに狂気の沙汰である。世界や日本の経済状況を反映する株価が、今、高値を更新する時でないことは、誰が見ても分かるはずだ。次々と発表されている我が国の主要企業の2020年4〜6月期の決算内容がそれを示している。
航空会社のANAとJALが1590億円、937億円の赤字。自動車産業では、ホンダが808億円、マツダが900億円の赤字となっており、唯一、トヨタが139億円の黒字となっているが、無理して出した数値ではないかというのが世評である。電機会社ではNECが102億円、東芝が126億円の赤字。
問題はこうした大企業だけではなく、中小企業の業績である。中でも懸念されているのが飲食店関係、ホテルや旅館等。どこも皆、売り上げは前年比70〜80%減。観光地などへは「Go
To
トラベルキャンペーン」で人は出かけていても、現地の飲食店に入らずに、コンビニで買ってきたおにぎりや弁当を車内で食べていて、店は閑古鳥が鳴いているケース
が多いようだ。ホテルの泊り客も激減した厳しい状況が、今も続いているようである。
また、芸能界やライブ・エンタテイメント業界の落ち込みも大きい。2月から5月にかけて中止や延期されたイベントは19万8000件。それによって失われた入場料は3615億円。タレントなど芸能人の方々の出演回数
も減少しているようである。
こうした状況は大手の上場企業の経営にも影響。遠出の旅が無くなれば航空会社は減収。給料が少なくなったり、失業したら、車や電気製品などを買い替える余裕がなくなって当たり前。9月以降、コロナ禍が急回復しない限り、こうした動きはさらに厳しくなるはずで、そうした動きはあらゆる分野に及んでくるはずである。
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所持金はどのくらい? 問われた多くの失業者は3千円、4千円位と答えていた。
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こうした姿は米国だけでなく、我が国でも目にすることが
次第に多くなって来ているようである。
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そうした動きが世界的に広がっているのだから、我が国や米国だけが経済が順調であるはずがない。それなのに株価はコロナ禍前に戻り、さらには新高値を更新しようというのだから、驚きである。
何故そのようなおかしなことが起きているのか? それは多くの方が疑問に思っている点である。それには幾つかの要因があるのだが、代表的なものを幾つか挙げてみよう。先ずその一つは、失業者数や倒産件数など経済の実態を報道機関が正確に報道しないでいる点である。
マスコミは失業率や倒産件数については、政府の発表する数値を流しているだけで、その裏にある厳しい実態を伝えていないのだ。
失業者が多発しているのは主に中小企業であるが、そうした企業に勤務している社員の中には多くの「日々雇用者」がいる。彼らは定められた労働日がないため、働き口を与えられなくても「休業」とはならず、休業手当を支給される対象にはならないため、失業者の中には登録され
ていないのである。従って実際に職を失っている人の数は、上段に添付した総務省の発表している190万人より遥かに多いのが実体なのだ。
次なる要因の一つは、多くの一般投資家が知らずにいる株式市場の実態である。実な現在の大手企業の株式の多くが、「自社株買い」で支えられて
、その価格を上昇させている面があるのだ。企業は事業で得た収益金を工場の建設や新たな製品開発などに投資し、更なる発展を狙うというのがこれまでの常識であった。
ところが最近は先行きの見通しが明るくないため、得た収益金を開発部門に使わず、自社の株式購入に回す企業が多くなって来ているのである。つまり、自社の株を市場から買い戻す
動きが多発して、株価を押し上げているのである。
その結果、一株当たりの価値が上がり経営指標が改善されて株価は上昇、配当金も増加。それは投資家にも喜んでもらえるところとなり、万事結構というわけである。そうした自社株購入を続けることによって、
現在の株価は25〜30%上昇しているといわれているのである。
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失業して間もない労働者
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更なる要因は、世界の株式市場の90%の株はわずか10%の巨大投資家によって保持されているという事実である。株式の売買によって収益をあげようとしている一般投資家の投資資金は全体の10%程度に過ぎないのである。
そして10%の巨大投資家は大企業や大資産家によって構成されており、経済の裏事情を熟知している彼らは、現段階では「闇の勢力」がコロナ禍での暴落を狙っていないことを知っているため、あわてて売りに入ることなく、コロナ禍で30%ほど下落した段階で、有力株に買いを入れて来ているのである。
そうした背景を知らない一般投資家は、自身の売っていた株が急上昇し始めたのを見て、あわてて売りから買いに転じることになっているというのが現状である。こうした背景があって、米国や我が国の株式市場は、暴落が始まった2月初めの株価に戻り、さらに上値を追う状況となって来ているのである。
そこで問題となるのが、コロナ禍がこれから先、どう動くかである。7月から8月にかけての動きが「第2波」であるなら、これから先、1〜2カ月は株価はしばらく安定した状態が続くことになるかもしれない。問題は11月から12月頃にかけて懸念されている「第3波の到来」と
、いかなる「ワクチン」が誕生するかである。
第3波が予想より厳しいものとなり、開発が進んでいるワクチンを凌駕するコロナ菌が発生することになった時には、経済社会の破たんは一気に進むことになる可能性は大である。そこまで行った時には、巨大投資家も手を引かざるを得なくなってくるに違いない。そして、それは記録的な世界大恐慌
を引き起こすところとなり、金融機関の倒産などが発生することになりそうである。
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今は通勤している人々も、年末から年初にかけての状況次第では、
職を失うことになってくるかもしれない。
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