この夏以降、頻繁にお伝えして来ているのが、カリフォルニア州を中心とした米国西部の森林火災である。世界に拡大している森林火災は今に始まったことではなく、ブラジルのアマゾンの火災を事例に、既に数年前からお伝えしているので、真剣に読んでおられる読者は、記憶しておられるはずである。
先日、スペインTVEは久しぶりに、ブラジルの巨大化している森林火災の状況を伝えていた。驚いたのは今回の報道は、アマゾンだけでなく、それに隣接したパンタナールと呼ばれている世界最大の湿原の火災状況を伝えていたことであった。
今月だけで既におよそ6000ヘクタールが焼け、その延焼面積は既にパルソナール全体の22%に当たる200万ヘクタールに達しているとのことであった。一方、米国西部の火災は、今月の13日現在でカリフォルニア、オレゴン、ワシントンの3州で東京都の6倍に当たる125万ヘクタールが焼失していることは、「日本のマスコミがようやく伝え始めたカリフォルニア州一帯の山火事」で記した通りである。
両者の火災の延焼面積を比較してみると、パーソナル湿地帯の延焼面積は東京都の10倍で、米国西部における火災のおよそ2倍に迫っていることが分かる。心配なのは消火活動に当たっている米国とブラジルの消防力の違いである。米国の火災は軍の消防隊が総動員されて鎮火に当たっているが、ブラジルにおける消防隊員の数は桁違いの少人数のようである。
更に心配なのは、パルソナール湿原には沢山の動物が生息していることである。スペインTVEはジャガーの世界最大の生息地であるパルソナール湿地帯は、生息するすべての動物にとって「天国」であったのに、今や巨大な「墓場」と化してしまったようだと伝えていた。
掲載した巨大なワニが焼死している姿や、足をやけどしたジャガーが足を引きずりながら餌を探して徘徊している姿を見ると目を覆いたくなってくる。更にこうした事態はパーソナル湿地帯だけでなく、以前からお伝えしているようにアマゾンのジャングルでも広がり続けているようである。
私は過去生でアマゾンとアンデスに縁があったことから、何度もアマゾンを訪ねており、多くの動物たちの姿を写真に収めさせてきただけに、そうした動物たちが今、次々と焼死し続けているのかと思うと、たまらない気持ちになってくる。
アマゾン探索でガイドをお願いした先住民の方から、先日、連絡があり、今ではもう私の撮影した動物や鳥の多くは撮影どころか、見ることすら出来なくなって来ていることを伝えられた。彼は「あなたの出版された写真集は貴重な本になりますよ」語っていた。
そんな写真集を出版出来たのは、過去生における縁があったからこそだと思うが、改めて写真集を広げて、色鮮やかなアンデスイワドリや魚をほおばるオオカワウソの姿を見ると、こうした動物たちが次々と死滅していく光景が目に浮かび、心が引き裂かれる思いである。
テレビはボルソロナ大統領がこうした悲惨な事態を招いている森林火災を過小評価している実態を伝えていた。かねてから言われていることであるが、彼は森林の焼失や動物の大量死などどうでもよいのだ。
それは、人の命を大事にしないことに繋がり、コロナ感染者数を世界で飛び抜けた1位(20万人越え)、2位(14万人越え)に押し上げているのだ。
その大統領が今開かれている国連総会で、「環境問題には最大限の努力を払っている」と、大見えを切っているのだからあきれてものが言えない。そしてそに姿はトランプ大統領と重なって見えてくる。二人は異常気象も自然災害もまったく眼中にないという点では、よく似た者同士である。
こうして酸素を供給し炭酸ガスを吸収してくれている木々が大量に焼失し、人類に食糧を供給する田や畑が洪水で流されている昨今の世界を見ると、地球のリセット・リスタートが間近かに迫っていることを感ぜずにはおれない。お互いに後悔先立ちとならないよう、旅立ちの準備だけはしっかりしておきたものである。