米国の第2四半期のGDP、記録的な悪化
実体経済の急ブレーキの裏で、株価高値維持
第二四半期のGDPの年率換算値は、かって経験したことのない落ち込みとなった。
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実体経済に急ブレーキが掛かる中、株価は高値を維持し続けている。
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米国の2020年第2四半期(4月〜6月)の国内総生産(GDP)は、年率換算で過去最悪の約33%減を記録した。この数値は四半期ごとの統計を取り始めた1947以来最悪の数値で、2008年のリーマンショックの最悪の3か月間の数値が−8%であったことを考えると、今回の新型コロナウイルスの米国経済に与えた打撃が、いかに大きなものとなっているかが分かる。
数値の内訳をみると、個人消費がー34.6%、設備投資がー27%となっており、やはり個人の消費の低下が一番の要因となっているようである。ただ、7月以降ロックダウン(都市封鎖)などが無くなっており、経済活動も再開し始めているので、第3、第4期の数値は回復する可能性はあるものの、10%を超す失業率の急回復は期待できないだけに、今年の年間を通じての国内総生産のマイナス幅が記録的なものとなることは間違いなさそうである。
私が驚いたのは、国内総生産の33%減というショッキングな数値が発表されたというのに、経済状況を反映するものとされている株価の昨日の落ち込みが、ダウ平均でわずか225ドル安に留まり、ナスダック指数においては45ドル高となった点であった。
コロナ問題が発生した2月からの動きを見てみると、30,000ドル近くまで上昇していたダウ平均は3月後半には18,591ドルまで40%近く急落したものの、其の後、わずか2カ月余で30%近く急回復し、2万7000ドル台まで値を戻している。景気の回復の目途など全く立たないというのにである。それどころか、ナスダック指数に関しては史上最高値を更新する日々が続いているのだから、ただただ驚きである。
そうした点に関しては色々の理由が言われているが、今の株式市場が実体経済を反映したものでないことを示している。こうした状況を見てみると、もはや米国の株式市場は経済情勢を反映するものではなく、単に金持ちたちが有り余った金をもてあそぶ博打場と化してしまっていることを物語っている。
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6室のベッドルームのついた75億円の超豪華クルーズ船。
コロナ禍で飯を食べれない人が搬出してきている一方で、
こうした高価な船の売れ行きが伸びているというから驚きである。
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支援団体から支給された弁当を路上で食べる失職者。
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コロナ禍の米国で深刻化する「経済格差」
現在の米国社会は、富裕層と低所得者層がはっきりと二分されているために、今回のようなコロナ騒動が発生しても、巨額の富を保有する富裕層には何ら影響を与えることはなく、金持ちは金持ちのままで、金遊びの場として株式市場を利用しているというわけである。
米国のわずか0・1%の人々が保有する富は、下層階の90%の人々の総合計分に一致しているというのだから、下層階の人々の多くが住む家を失い、食事にも不自由し始めている中、金持ちたちは金持ちのままであり続けていても、決しておかしくなのである。
その実態を昨日のNHK・BS局の「国際報道」が伝えていた。一隻が10億から70億する小型客船・クルーザーは、今回の新型コロナウイルス騒動下でも購入者は減少することなく、コロナ禍から守られる安全な空間として利用できるとして、むしろ増え続けているようである。
こうした状況下、昨日、FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、「今回の景気後退は全ての米国人に平等に降りかかっているわけではなく、サービス業などの賃金の低い人に重くのしかかっている」として、米国社会の格差が深刻化して来ている実体について語った後、米国社会の異常な格差問題はこれから先、米国社会を崩壊させることになると、異例ともいえる警告を発していた。
中国だけでなく米国の「国家破綻」も遠からずしてやってくることについては既に記して来たが、今回のコロナ禍における米国の格差問題は、どうやら米国の国家破綻の一つ要因となりそうである。
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FRBのパウエル議長は極端な格差が米国社会を
破壊することになるかも知れないと警告。
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