GDP伸び率戦後最大の落ち込み −27・8%
新型コロナの経済への打撃一段と鮮明に
我が国の4〜6月のGDP(国内総生産)の伸び率が、前期比−7・8%減、年間換算で
ー27.8%となった。これは「100年に一度の危機」と言われた2009年のリーマンショック時のー17.8%を大幅に下回る、戦後最大の落ち込み
であった。
この記録的な落ち込みの最大の要因は、GDPの半分以上を占める個人消費が、外出自粛や休業で外食や旅行を控えることによって「個人消費」が
前期比ー8.2%と過去最悪となったこと。また、海外のロックダウンなどで外需が落ち込んでいることから、輸出がー18・5%と
激減した点も影響しているようである。
問題は7月以降の動きであるが、買い控えは現在もなお続いており、海外からの観光客に頼れない観光地では、日本人観光客がコンビニで買った食べ物で済ましているケースが多く、レストランやホテルは厳しい状況が続いており、個人消費の急回復は無理のようである。
海外の感染状況も多発国の米国やブラジル、インドなどは相変わらずの感染者増が続いており、減少傾向にあったヨーロッパ各国も規制緩和によって再び増加傾向に転じていることから、外需の急激な回復は無理のようである。
そうした状況下で心配なのは、学校の授業問題である。我が国では幸いにも小、中学、高校の授業はなんとか始まろうとしているが、大学などでは相変わらずインターネット授業が続いており、生徒同士の交流がストップしているため、親元を離れて一人住まいをしている学生たちが、精神的にうつ状態に陥ることになりはしないかと、心配である。
我が国を遥かに上回る「海外の景気低迷」
|
|
|
|
我が国の数値はイギリスの半分以下である。 |
|
上の図票を見てもらえれば分かるように、海外の主要国のGDP(国内総生産)の伸び率の低下は我が国より遥かにひどくなっている。米国の32・9%もひどいが、ユーロ圏とEUを脱退したイギリスの数値は
それを遥かに上回って、40〜60%と驚異的な数値となっている。
先日、「In
Deep」に掲載されていたゴーストタウン化した米国のニューヨーク5番街の状況を見ると、回復に向かっていると思われていた商店街が今も多くの店舗が閉鎖状態が続いているようで、驚きであった。どうやら、ABCニュースなどで流される情報はそのまま信じないほうがよさそうである。
|
|
|
|
ゴーストタウン化した米国のニューヨーク5番街。
高級店の窓には板が打ち付けられ閉店状態となっている。
|
|
衝撃的な映像が投稿されたのは8月7日となっているが、撮影日が投稿当日や数日前であるとすると、ニューヨークで最も華やかで、高級店が立ち並ぶ商店街は今から10日ほど前は、窓に板が打ち付けられた閉店街となっていたことになる。それはABCニュースなどで伝えられている状況とはあまりにも異なるため、大変な驚きであった。
この映像が信憑性が高く感じられたのは、ニューヨークタイムズに掲載された、「3月1日から5月1日までの間に、42万人のニューヨーカーが大量脱出した」とする記事であった。大量脱出と言ってもその数は42万人ほどで居住者の約5%ということであるが、どうやらそのほとんどがブルックリンなど最も裕福な人たちが暮らす地域で、その地域で見るなら40%の住民が街を去ったことになるようである。
こうして裕福な人々が大量に街を去ってしまったら、ブランドショップに代表される高級品販売店やレストラン等は閉店となって当たり前である。どうやら、其の後も流出は加速化しているようで、戻ってきている人は少ないようである。裕福な人々は避暑地などに幾つもの家を所持しているため、そこでゆったりと暮らしているのではなかろうか。
それを裏付けているのが、ニューヨーク州のクモオ知事がニューヨークを離れた裕福な人たちには急いで戻ってきて欲しいと、語っていることである。クモオ知事によると、ニューヨークの1%に当たる富裕層が、州の税金の半分を払っているため、富裕層の脱出はニューヨーク州の税制に大きな打撃を与えているようである。
問題はこうして富裕層が去ったニューヨークでは貧困状態の人々がマンハッタン通りの路上で眠り、排尿し、薬物を服用しながら徘徊していることである。また、強盗事件は286%増加しているというから、残った人々もこうした状況に怯えながら暮らしているに違いない。それに、米国が銃社会であることを考えると、これから先、ニューヨークなどの都市部は一段と厳しい状況と化してくるのではないかと心配になってくる。
|