米下院は13日、ドナルド・トランプ大統領を弾劾訴追する決議案を可決する事態となった。トランプ氏はこれにより、大統領職の退任7日前にして、史上初めて2度にわたり弾劾訴追された米大統領となった。今回の決議で驚いたのは、共和党からは10人の議員が賛成に回ったことであった。
今回の弾劾訴追を見ていると、ナンシー・ペロシ下院議長がいかに先般発生した議事堂乱入に対して恐怖心を持ったかが分かる。4年間にわたって米国政治を共に担って来た人物に対して、米国の歴史で初めての2度にわたる弾劾訴追にかけることなど、あまり褒めれたことではないからである。
議員の中から訴追を求める声が上がっても、暴徒たちの行動が大統領の指示によるものであったか明らかになっていない事や、大統領職の残された日数がわずか1週間足らずであることを理由に、訴追を求める議員に対して却下を説得するのが議長職にある者の本来の姿ではなかろうか。
今回のこうしたペロシ氏の軽率とも思える行為を見ていると、デモ隊の一部の乱入によって彼女のノートパソコンが奪われたのが事実だとしたら、そこに記されていた個人情報の拡散よって自身のやって来た所業が表面化することに対し、強い恐怖心を抱いているのが目に見えるようである。
暴動後、トランプ氏が「更なるデモの情報を受け、私はいかなる類の暴力や違法行為、破壊行為はあってはならないと訴える」と表明し、「全ての米国民に対し、緊張を和らげ、感情を落ち着けるよう」呼び掛けているのと比べると、ペロシ氏の言動は真反対であった
いずれにしろ今回の弾劾訴追によって、これから先、米国社会はコロナの大流行と、トランプ氏を巡る論争という二つのパンデミックによって、国民の間に「分断」と「不信感」が蔓延し、国家衰退・国家滅亡に向かっての動きが一段と加速化することは
、もはや避けて通れそうもなさそうである。
これから先、新大統領が就任する20日以降も、米国社会から目が離せない日々が続きそうである。