今回はかねてから私が危惧していたイギリスと中国における危機的状況に関して、具体的な事例が発生し始めているので、簡単にご報告しておくことにする。
世界的にコロナ禍が拡大する中、人口が6500万のイギリスでは変異した感染率の高いウイルスによって感染者数が急増し続けており、昨日の段階で累計数は340万人を超えており、死者数の累計も9万人台に達して、人口比で見るなら米国の40万人を抜いて世界でトップとなる勢いである。
こうした厳しい状況下、昨年末にイギリスがEU(欧州連合)から正式に離脱してから2週間しか経過していないが、早くも「イギリスとEUの自由貿易協定ギリギリで合意」などで、私がかねてから心配していた問題が発生。イギリスとEUとの間では人や物の行き来に手間やコストがかかるようになり、物流に混乱が発生し始めているのだ。
イギリスのスコットランドで水揚げされた魚介類をEUに輸出する長距離トラックが通関手続きで時間が掛かり、所定の日数で輸出が出来なくなる事態が発生しているのだ。活きた魚介類を輸送する場合には、EUとの国境で検査を受けることになっている。しかし、配置されている職員の人数不足と検査能力の不備のため、時間が掛かり過ぎて魚介類が死んでしまい、商品を放棄せざるを得ない事態が多発しているのである。
イギリスにとって最大の市場であるEU諸国に販売が出来なくなってしまっては、漁業者だけでなく搬送会社にとっても死活問題。スコットランドでは漁業者の3分の1の船が出港出来ない危機的状況となっている。このままでは生計を立てていけなくなってしまうと、昨日はロンドンの中央官庁街でデモを実施。
中国では石炭や金鉱などを掘り出す鉱山での事故が多発していることに関しては、先日「中国ではマイナス下に中、エアコンが使えず」でお知らせした通りである。その要因は掘削技術のレベルの低さであるが、一向に改善されないため多くの炭鉱夫が亡くなる事故が多発しているのである。コレラ禍と同じように都合の悪いことは政府によって隠されているため、我々の目や耳に届かないだけである。
昨日のオーストラリアABCニュースは、先日も金鉱山の坑道で爆発が起き、作業員20人が地下に閉じ込められる事故が発生したことを伝えていた。事故から1週間が経過した段階でようやく地下600mの坑道にいる作業員と連絡が取れたようである。
現場からメモを受け取ることが出来たがそこに記されていたのは、既に8人が死亡し残りの12名が生き残っているが食糧や医薬品が必要とされているので急いで届けて欲しいと記されていた。驚いたのは「我々を見捨てないで!」と記してあったことであった。坑内には換気装置がないため、ほこりと水が充満しており、生存者たちは厳しい状況に置かれているようである。
前回も記したように、中国における炭鉱や金鉱の掘削技術は極めて低レベルであることから、中国の鉱山は世界で最も危険な鉱山とされており、1カ月前の12月にも南西部の鉱山で一酸化炭素中毒により18人が死亡する事故が起きたばかりである。
中国では掘削技術のレベルが低いだけではなく、事故の際の対応にも問題があるようだ。担当職務にいる者は事故の発生を隠したがると同時に、対応のスピードにも問題があり、今回の事故でも事故発生から1日半ほど経過した段階でようやく救助活動が始まったようである。そのため従業員の家族から非難が発生し、
地元の書記と市長が解任された。
こうしたお粗末な話が伝えられるたびに思うことは、中国という国は軍事面や月面探索などに関しては世界屈指のレベルに達しているものの、炭鉱とか農業とかといった地味な分野では、信じられない程低レベルに留まっていることである。そしてその背景にあるのが、共産党政権によ一党独裁政治による隠ぺい工作と自己中心というマイナス面である。
それゆえ我々は中国に対しては両面から眺めないと、見間違ってしまうことになる。いずれにしろ、今は一見覇権国家としての偉業を誇り、ふるまっているが、一皮むいてみると隠し事だらけの恐ろしい実態が見えてくる。
世界をコロナ禍に導いた国であるにもかかわらず、今はコロナ禍を乗り越えた国であると自慢しているのだから恐れ入る。武漢市の裏通りに屍が累々と横たわっており、火葬場が早朝から深夜まで稼働していたことなど、なかったこととしてまかり通っているのである。
こうして見てみると、規模と頻度を増してきている自然災害と富裕層に対する貧者の怒りが遠からずして表面化して、大国・中国が遠からずして、カルマの刈り取りに向かうことは避けられそうになさそうである。