欧米と中・ロの対立鮮明化
次なる世界大戦に向かう可能性もあり
|
|
|
|
米中会談終了後すぐにロシアを訪問し、外務大臣会談を行った中国。 |
|
昨日、米国と中国・ロシアの関係悪化が強まろうとしている記事を掲載した。その関係悪化の要因はアラスカで行われた米中の外交トップによる会談が双方の激しい応酬合戦になったことと、バイデン大統領がプーチン大統領を人殺しと呼んだことであった。
その後、EU(欧州連合)は22日の外相会議において、中国でウイグル族に対する深刻な人権侵害が続いているとして、中国のウイグル自治区の幹部4人に対して渡航禁止や資産凍結の制裁を発動した。ヨーロッパ諸国が中国に制裁を科すのは1989年の天安門事件後に武器禁輸措置をとって以来、32年ぶりであった。
これに対して中国は即座に反発し、欧州議会の議員10人と4つの組織の関係者らに中国への入国禁止などの制裁を科すと発表。これまでEUと中国とは人権問題より経済を優先することに力を入れて来ていただけに、今回の措置は驚きであった。
問題はこれから先、EUは中国に対する強硬路線をとる米国に同調して行くことになるのか、それとも経済優先のため摩擦を避けようとするのかという点である。ただ、これから先、米国と中国との対立が厳しくなることは間違いないだけに、EUは同盟関係にある米国の政策に反するような政策を進めることは難しくなってくるのではなかろうか。
こうした動きの中、中国の王毅(おおき)外相はアラスカから帰国後、直ちにロシアを訪問し、ラブロフ外相との2者会談を行った。会談後、外相はこれから先、ソ連との連携をさらに強化して米国と対抗していくことになったと記者会見で発表。
中国では先のアラスカでの米国との会談が物別れ状態で終わったことが話題になっていたので、ロシア訪問は国民から注目されており、その対談の様子は大々的に伝えられて、テレビでは「ラブロフ」「ラブロフ」という名前が何度も何度も繰り返されていたようである。
|
|
|
|
フィリピンの排他的経済水域である海上に220隻の中国漁船が停泊。
それはフィリピン政府に対してその海上の領有権を主張するための威嚇行為であった。
|
|
|
|
|
|
200隻を超す中国漁船は数日間、晴天にもかかわらず、
漁業活動は全くせず停泊してフィリピン政府に対する威嚇行為を行った。
|
|
一方、EUとロシアとの関係は以前からかなり冷え込んだ状況となっているだけに、これから先、我が国や韓国との連携を強めた米国やEUそれにイギリスが加わって、中国・ロシアとの対立が次第に深まっていくことになりそうである。こうして見てみると、どうやら世界は今、「新冷戦」時代に入ろうとしているようである。
私はその口火となるのは、東シナ海から南シナ海にかけての海域での中国とフィリピンやベトナム等との領海侵犯トラブルの発生ではないかと思っている。中国の領海侵犯のひどさは我が国の尖閣諸島海域における侵犯の凄さを見ればお分かりになるだろう。
数日前の海外放送は、フィリピンの排他的経済水域のパラワン島の西300キロの海域に220隻の中国漁船が停泊し、そこが中国の海域であることを誇示している様子を伝えていた。こうした情報は皆さまの耳に入っていないかもしれないが、中国が何度も行っている威嚇行為の一つであるのだ。
これまでも何度もHPでお伝えしてきているように、中国はこれから先、自然災害の発生によって危機的な食糧不足に陥る可能性が大きく、海産物の漁獲量は国家の存亡がかかっているだけに、これから先、中国と東南アジアの沿岸国との領海侵犯トラブルの発生は避けては通れそうになさそうである。
そうした行為はいつか国家間の本格的な争いになる可能性があり、やがては世界的な大戦へのきっかけとなることもあり得るだけに、米国はいま日本、インド、オーストラリアとの連携を深めようとしているのである。先日行われた4カ国の首脳のテレビ会談はそうした事態を念頭に置いて開かれたものである。
また、米国海軍が盛んに東シナ海からインド太平洋に向けて航行を繰り返し、イギリスも最大の空母を近いうちに、南シナ海に向けようとしているもそのためであるのだ。こうした現状を見ていると、米国やEU諸国、それに我が国や韓国、インドやオーストラリア、それにフィリピンやベトナム等の国が連携し、ロシアと手を組んだ中国と対峙することになる可能性は決して小さくはなさそうである。
マスコミはそこまでは伝えていないが、どうやら今回の米中の対立はその先駆けとなるかもしれないだけに、東シナ海や南シナ海に関するニュースは関心を持って観ていく必要がありそうである。
|
|
|
|
先般、日本、米国、インド、オーストラリアのテレビによる
トップ会談が開かれたことは、対中国政策の一環であった。
|
|
|
|
|
|
|
|
|