暴徒による議事堂侵入という前代未聞の混乱の中で行われた米国大統領の就任式は、トランプ支持者による反バイデンデモや暴徒による騒動が行われるのではないかと心配されていたが、そうしたことは一切なく、2万5000人の州兵によって警備され何らトラブルもなく無事終了。バイデン氏が46代大統領として誕生するところとなった。
しかし、通常なら新大統領を支持する人々で埋まるワシントン・モニュメントの前の広場には、人の姿はまったく見えず、ガードする州兵と沢山の国旗が揺れているだけという前代未聞の就任式であった。国民の分断状態の中で就任したバイデン大統領は「民主主義が勝利した」と述べ、「最初になすことは国民の結束である」と何度も何度も呼びかけていたのが印象的であった。
就任式後、新大統領は執務室で早々に、トランプ大統領が為したパリ協定やWHOからの脱退に復帰する文書にサインする等の執務にとりかかっていた。驚いたのはバイデン氏から指名はされているものの、未だに上院で正式に承認された閣僚が1人もいないことであった。こんなことは前代未聞で、いかに今、覇権国家・米国が混乱状態にあるかを示していた。
問題はこうした状況下の中で新大統領が二分された国民の声をいかにまとめ、ぐらつき始めている覇権国家としての威信を取り戻すかである。また、トランプ大統領の置き土産となったコロナ禍の蔓延をいかに沈静化するかも大事な仕事である。
バイデン氏は親中国派だとされているが、国家的トラブルに向かっている米国と中国の未来はそんな二人の指導者にかかっているだけに、これから先、その一挙種一動から目が離せない日々が続くことになりそうである。