先日、タイの沖合を航行中の船舶で火災が発生し沈没する事故が発生した。そして、その船に乗っていた猫たちが危機一髪のところで救助されたニュースが流れた。読者の皆さんもご覧になられたことだろう。
猫たちを救ったのは沈没事故の発生後、船から流出している油を確認するために派遣された海軍の兵士であった。兵士は職務を実行するために油の流出状態を確認していたところ、海上に漂っていた甲板の一部に身を寄せ合っている数匹の猫の姿を発見。
驚いた兵士は海に飛び込み油の漂う中を泳いで沈没船に近づき、一匹づつ背中に乗せて救助。こうして助けを求めていた全ての猫を救助するところとなったのだ。助けられた猫達は隊員が油の流出量を確認する間、海軍船の指令室で隊員たちに可愛がられていた。
猫の姿を見つけた隊員は上司の指示で救助に向かったわけでなさそうである。隊員は猫好きであったから、思わず体が沈みかかった船に向かったに違いない。どうやら、助けられた猫たちは運の強い猫たちであったようだ。救助された船の船員たちも、さぞかし喜んでいることだろう。ニュースを見た私も思わずステラとルナを抱きしめて喜びを分かち合った。
暗く悲惨なニュースばかりが伝えられる昨今、こうした情報は沈みがちな心を癒してくれる最高のニュースである。人の命も猫の命も、命に変わりはない。部下に命じて敵対者を殺害させる国家の首脳もおれば、自ら油の漂う海に何度も飛び込んで猫を救う兵士もいる。人さまざまである。