バイデンの大統領就任式が3日後に迫る米国では、武装集団による抗議デモが発生する恐れがあるとして、首都ワシントンや50州の州都では州兵による厳戒態勢が敷かれている。中でも首都ワシントンでは2万5000人の州兵が招集され、車の乗り入れも制限され、地下鉄の駅も閉鎖される緊急事態と化している。
我が国のような平和ボケした国に住んでいると、2万5000人の州兵出動などと言ってもピンとこないかもしれないが、アフガンやイラクに派遣されている兵士の数に匹敵することを考えれば、今、政府や警察当局がいかに20日、(日本時間で21日未明)の大統領就任式を恐れているかが分かろうというものである。
いずれにしろ各州で行われるとされている集会が大事に至らなければよいのだが、トランプ支持者に紛れ込んだ「闇の勢力」がこの機会を利用しようとしている可能性は大きいだけに心配である。
これまで、暴徒集団がデモ集会者を集めるための通信手段として使ってきたのが、フェイスブックやツイッターであったが、これらは今閉鎖されて使用できない状況にある。そのため、デモ参加者集めは難しいのではないかと思われていたが、実はそれらの通信手段に代わって、今暗号化されたアプリ「テレグラム」がグループ間のコミニュケーションに使われ始めているようである。
この暗号化された通信は警察当局がその内容を確認することが困難のため、これまでの様に、事前に集会などの日時や場所を把握することが難しくなっているようである。いずれにしろ、こうした「闇の勢力」の配下にある集団が幾つかの州都やワシントンで暴徒化する可能性は有りうるだけに、再びトランプ支持者たちがそうした集団に巻き込まれないようにして欲しいものである。
ロシアの野党勢力の指導者であるナワリヌイ氏が昨年8月ヨーロパに向かう際に空港で化学兵器の神経剤で攻撃されて、機内で意識を失い危篤状態に陥った件については9月7日付の記事「またもや起きたロシアの暗殺行為」でお伝えした通りである。読者は覚えておられるだろうか。
こうした行為に対してEU諸国は強く非難し、その後、ロシアとの関係は急激に悪化する事態となっており、世界情勢は「米国対中国」だけでなく、「欧州対ロシア」の関係も悪化し今もなお厳しい状況が続いているのである。
こうした状況下で、ドイツの病院で治療を受けて奇跡的に意識を取り戻したナワリヌイ氏は体調を回復していたが、この度、ロシアに戻ることとなった。ドイツのメルケル首相やEUのミッシェル大統領は帰国を見合わせるように説得したようだが、ロシアを離れていてはなにも出来ないとして、昨日、ロシアに向かうことになったのである。
17日夜、ナワリヌイ氏が乗った飛行機はモスクワに到着したものの、機は支持者が待ち受けている空港とは別の空港に着陸させられ、逮捕される事態となったのだ。プーチン大統領はナワリヌイ氏に対する暗殺未遂事件については、自分は一切関わっていないと発言して来ていたが、今回の逮捕劇を見れば、暗殺も今回の逮捕劇も皆、大統領の指示によるものであったことは明白である。
大統領は一見紳士面をしているが、我が身や地位を守るためなら、反抗する者の命などお構いなし。それが彼の真の姿で、まさにかってのラス・プーチン僧侶の生まれ変わりそのものであるのだ。そんな絶対的な権力を握っている大統領に立ち向かおうとしているナワリヌイ氏はどうやら過去生でも強いライバル関係にあったに違いない。
これから先、恐らく長い禁固刑に処されることになると思われるだけに、ナワリヌイ氏の身の安全が心配される。一方、政治面ではさもなくても冷え切っているロシアとEU諸国との関係が、今回の逮捕劇によって一段と悪化するのではないかという点も、心配である。
EUのミッシェル大統領は今回の逮捕劇を受けて早々に「ロシア当局に対して直ちにナワリヌイ氏の釈放を求める」と投稿。これから先、プーチン大統領に対する欧米諸国の反発は一段と強まることになりそうである。
こうして今世界はコロナ禍に見舞われて厳しい状況下にありながら、政治面においても「米国対中国」、「欧州対ロシア」の関係悪化が一段と増して来ており、先行きが見えない状況と化して来ているのだ。 無用に怖がることはないが、その点は読者もしっかりと頭の中に入れておいて頂きたいものである。