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アメリカの「ティーパーティー」運動に注目


日本ではあまり大きく取り上げられていないが、今アメリカでは「ティー・パーティー」運動が凄い勢いで盛り上がり始めており、アメリカの流れを変えそうな勢いである。特にその動きが目立つのが、11月に実施される中間選挙の候補者指名を争う予備選である。

11月の米中間選挙の候補者指名を争う共和党の予備選が14日、デラウェア州など計7州と首都ワシントンで実施され、同州のほかウィスコンシン州の上院選とニューヨークの州知事選で、 ともに保守派市民運動「ティー・パーティー」が支持する候補が勝利した。

デラウェア州では、女性候補のクリスティン・オドネル氏(41)が、元州知事で共和党の主流派が支持するマイケル・キャッスル下院議員(71)に競り勝った。選挙戦序盤は知名度の高いキャッスル氏が優位だったが、オドネル氏が、ティーパーティーに人気の高いペイリン前アラスカ州知事の支援を受けると差が縮まり、終盤で一気に劣勢を巻き返した。

驚くのは、こうしてティー・パーティーの強い支援を受けた候補者が次々と名の知れた大物議員を落選させているが、彼らはいずれも無名に近い候補者で、、事前予想を覆し勝利を収めているという点である。 こうした動きを受けて、アメリカのマスコミはこのところ、《 「ティーパーティー候補」相次ぎ勝利 米共和党予備選 》といったニュースを相次いで 流している。

我々日本人は「ティー・パーティ」と聞いたら、庶民がお茶でも飲みながら政治談義をする運動ぐらいにしか考えないと思うが、アメリカ人にとって、「ティー ・パーティ」とは政治的抗議の象徴である。

今から240年ほど前、1773年12月にイギリス政府が押し付けた茶税に反対し、植民地の住人がボストン湾に停泊中の東インド会社船の積荷である 「茶(ティー)」を海に投げ捨てた「ボストン・ティー・パーティ(ボストン茶会事件)」に由来するもので、この事件が発端となって後にアメリカ独立戦争が勃発している のである。

今回の「テイー・パーティ」の舞台の中心はワシントンで、オバマ大統領の大規模な景気刺激策や医療保険改革に代表される「大きな政府」政策に反対する草の根運動が 、全国的な保守主義運動へと発展したものである。
 

マサチューセッツ州で民主党まさかの敗戦
 

 

よもやの敗戦となったコークリー候補とオバマ大統領


 

勝利したスコット・ブラウン候補


その後、抗議デモや運動が全国に広がり、一躍脚光を浴びたのは、本年1月19日、医療保険改革に熱心に取り組んでいたテッド・ケネディ上院議員の死去に伴う特別選挙で 、勝利間違いなしと思われていた民主党のマーサ・コークリー同州司法長官が敗れた選挙であった。

まさにマサチューセッツ州でお茶の代わりに、ケネディー家が約60年間にわたって守ってきた民主党の議席が、共和党候補者(スコット・ブラウン氏)によってボストン湾に投げ捨てられた というわけである。

このような政府に抗議する運動は今までにもよくあったことであるが、これまでのその種の運動と違う点は。批判の矛先が民主党のみならず、解決策を示せない共和党にも向けられており、政党選びを問題にしているのではなく、まさにワシントンのこれまでの政治への不信感が根底にあるという点である。

もしかすると、今回の「テイー・パーティ」運動は、選挙で選ばれたとはいえ、一握りの政治家によって動かされてきたアメリカ政治が無名な人間の登場によって、本当に国民の思いを活かした政治へと変化する大きな流れを産むことになるかもしれない。

しかし、今のアメリカには、先に掲載した貧困問題をはじめ、高い失業率、過去最大の財政赤字、イラクやアフガンへの軍事的対応等さまざまの問題を抱え、国民の怒りがいつ爆発してもおかしくない状況にあるだけに、一歩間違えると、アメリカ社会に取り返しのつかない混乱を引き起こすことにもなりかね ず、心配の面も持っている。

いずれにしろ、この「ティー・パーティ」運動がこれから先どのように展開し、11月の中間選挙や2012年の大統領選挙にどのような影響を与える政治運動となっていくのか、我々も関心を持って見ていく必要がありそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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