ギョギョ 幻の魚「クニマス」だ!!
昨日、NHKテレビや朝日新聞で「クニマス」発見のニュースが大きく取り上げられた。
クニマスとはなにか? サケの仲間で漢字では「国鱒」と書く。世界中でただ一ヵ所、秋田県の田沢湖にだけ棲息する固有種で、成長すると全長が30センチほどに
なる黒色の淡水魚である。ただ、70年ほど前に田沢湖を水力発電に利用しようと、近くを流れる玉川の水を流入させたところ、水質が酸性に変わって
しまったために絶滅し、地球上から姿を消してしまったと考えられていた。
しかし、それが田沢湖から500キロも離れた山梨県の富士五湖の一つ「西湖」(さいこ)で生き延びていたことが確認されたのである。幻の魚と言われ
た絶滅魚が生きていたのであるから驚きだ。どうやら、田沢湖の孵化場から65年ほど前に、西湖漁業組合に送った卵が孵化し生き延びていたようである。
それを確認したのは京都大学の中坊教授であるが、事実上の発見者はなんとあの愉快なタレント・ギョギョギョの「さかなクン」である。発見の経緯は概略次のようなものであった。
「さかなクン」は東京海洋大学の客員准教授でもあるが、イラストレーターとして魚の姿をウロコやヒレの数までこだわり正確に書くことで知られている。そんなことで、研究仲間でもある中坊教授から絶滅したクニマスの絵を描いてくれと頼まれて製作中、より正確な姿を描こうと近縁種のヒメマスを西湖から取り寄せることになった。
ところが、届いた魚はヒメマスならぬ黒一色の魚。西湖では以前から、ヒメマスに似て体色が黒っぽい魚がおり、「クロマス」とか「黒いヒメマス」と呼ばれていたようであるが、届いた魚を見たさかなクンはこんな黒いヒメマスがいるはずがないと直感、さっそく
中坊教授に見せに京都へ。
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さかなクンが送ってくれたクニマスの色紙@ 【クリックで拡大】
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驚いたのは今度は中坊教授、そこには絶滅魚のクロマスがいたからである。その後、「さかなクン」と教授は西湖に出かけ、自らの手でクロマス釣りに挑戦。湖の中程で刺し網に引っ掛かったのが黒い魚、思わず「ひえー!クロマスだ!!」。 あの「さかなクン」の独特の叫び声が聞こえてきそうである。
こうして、このほどDNAの検査結果も出てクニマス発見のニュースとなった次第である。
世に教授や博士の称号を持っている学者はたくさんいる。しかし、こうした発見はなぜか素人に近い人間がすることが多い。お偉い学者・先生たちはややもすると、デスクワークが中心となっているからだ。「さかなクン」は准教授とはいえ、あくまで現場密着型の研究者である。だからこを、各地に知り合いの漁師がおり、今回もそうした
仲間たちとの交友を通じて送ってもらった魚が縁を取り持ってくれたというわけである。
彼の純粋さとひたむきさ、それに心から生き物を愛する心が、今回の世紀の発見につながったに違いない。NPO法人・自然のめぐみ教室を通じて日頃から親交のある「さかなクン」の快挙が嬉しくて、思わず叫んでしまった、「さかな君」おめでとう!! これで彼は押しも押されぬ
生物学者の仲間入りである。昨日はなんとも嬉しい一日であった。
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色紙A 【クリックで拡大】
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