これ、同じ国の景色?
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先ずは、下段の写真と見比べてみて欲しい。同じ国の風景とは思えない景色が映し出されている。
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9月17日夕方、北京市内を走る140の道路で渋滞が発生し、今年初めに豪雪で起きた90の道路での渋滞記録をさらに更新したことを伝えている。写真は、その際の北京市内の渋滞の様子であるが、まるで大災害が発生して、にっちもさっちも行かなくなったような状況が映
し出されている。
上り、下り片方の渋滞なら我が国でもいくらでもあることだが、上下両線が同時これだけ渋滞した姿には、あまりお目にかかったことがない。
しかも、こうした状況が北京市内だけで140カ所で発生したというから、いかに今、中国が異常な経済発展を遂げつつあるかがわかろうというものである。
秋葉原の電器街を歩けば、いたる所で聞こえてくる中国語。銀座の高級店で、中国人に一掃され入手困難となったブランド時計。ニューヨークの5番街で
も、大金を惜しまず競って買いあさるブランドバッグ。豪州で購入するのは贅沢な住宅と土地
。今や、世界を買い込む勢いを見せているのが、中国人富裕層。わが国のかっての農協ツアーに似ていなくもないが、財布の中身の桁が違う
。
一方、生活に追われその日の食事にも事欠いている貧民層は、その不平や不満を暴動やストライキに向けている。まさに中国は今2種類のまったく
異なった民族が同じ国家の元で共存を図っているようなものである。それを表すかのような光景が、
車に埋まった上の写真と、災害後の復旧が放置されたままの下の写真である。
上下の写真を見比べて頂くと、180度言うか360度言うか、まったくの別世界を走る2本の道路が映し出されている。下段の写真は今年の8月中旬に、豪雨と土石流に見舞われ大きな被害が発生した四川省楽山市夾江(ジアージャン)県にある道路である。
そこには、路面を残し、川に面した路床が抉(えぐ)り取られた道路を、3本の木の棒で支えている恐ろしい光景が映り出されている。道路の長さは約30メートルに達しているという。
人がかろうじて渡る程度かと思ったら、付近の村民によると、この道路は長さ約4.2キロにわたって2村2000人と外界を繋ぐ主要道路の一部であるため、現在もオートバイ、三輪車、マイクロバスが通行して
いるのだという。車両は出来るだけ内側を通過しているが、道路はがたがたと震えて、心臓も震えるようだという。なんとも恐ろしい話である。
大災害の復興は嘘話
我々は中国で洪水や大雪、干ばつや大地震などが発生した後、中国国営テレビを通じて見せられるのは、人民軍による大規模な復旧作業の様子や、温家宝首相や胡錦涛主席が現地を訪れ被災者を励ましている映像である。
そうした映像を見せられると、つい、共産党政府が被災地の復興や被災者の救済に
全力で取り組んでおり、復旧や被災者救援が順調に進んでいるように思いこんでしまう。しかし、そうした考えは錯覚で、日本の災害地で見られるような復興は決して成し遂げられていないのが実体のようである。それを示すのが下の写真である。
復旧作業は主要部だけが行われ、その周辺の地域はほとんどが手つかずのまま放置されているケースが多いのが、実情のようである。村人2000人が外界とつながる唯一の道路が災害発生から1ヶ月経過した現在もこの状況であることを見れば、そう思わざるを得ない。
ということは、被災者のみならず多くの国民が、軍事力と経済発展を最優先した中国共産党の政策に大きな不満を持っていることは間違いない。
そうしたたまり貯まった鬱憤がいつ暴動を引き起こしてもおかしくない状況にあるのではないか、というこれまでにしばしば私が述べてきた話が、真実味を帯びてくる。
それが怖いからこそ、
中国政府は今回の尖閣諸島問題に対しも異様なほどに攻撃的な姿勢を示しているのではなかろうか。間もなく上海万博も終了である。さてそこから先は、何を持って7億の民を、不平不満の塊となった国民をまとめていこうとするのか。
いよいよこれからは、胡錦涛や温家宝氏ら共産党指導部の面々が、「三本柱で支えられた道路」の上をマイクロバスに乗って、薄氷を踏む思いで走る局面が到来しそうである。
驚異的な経済発展と大国意識がはびこり始めた最近の中国の様子を見ていると、その姿が「三本の柱」の危なげな道路と重なってくるような気がしてならない。
バブル経済の崩壊が近づきつつある今、世界は中国の行くへを不安な心で見守り続けることになりそうである。
ところで、この道路はいつまで大過なく、住民の行き来を支え続けることが出来るのであろうか。
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洪水から1ヶ月経っているというのにこの有様である
これで経済大国と言えるであろうか |
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今の中国政府の姿が移り出されたような、
三本の柱に支えられた道路 |
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