中国・猛暑でバスが炎上
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北京市内で炎上するバス (大紀元日本)
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5月初めから、中国の広い範囲で猛暑が続いているが、7月に入って一段と猛威をふるいだしたようである。7月5日には、北京市では南部郊外の最高気温が摂氏41.8度に達しており、7月上旬としては1951年に観測して以来の
59年ぶりの記録となっている。あまりの暑さに、酔狂(すいきょう)にも「道路で目玉焼きができるかも」と試した人がいたようだ。
実際にアスファルトの路面で「目玉焼きづくり」をした人によると、強烈な日光に照らされる「灼熱(しゃくねつ)の路面」に、卵を割って落とし、ふたをして約3分後に開けてみたところ、きちんと「目玉焼き」
が出来ていたという。
卵黄(きみ)の凝固温度は摂氏65度、卵白(しろみ)は同68度程度であるから、地表温度が60〜68度に達していた北京市内のアスファルト上で
は、卵料理ができてもおかしくないほどの猛暑であったわけである。「気味(卵黄)の悪い話」とは、まさにこのことを言うようである。
また6日には、炎熱状態の北京で運行途中のバスが突然火を噴き、全焼するという事故が発生した。原因は熱波によるもので、燃料パイプの接続部が高温で膨張し
、漏れたガソリンがエンジンに引火したものだという。負傷者が出なかったのが幸いであるが、今回の猛暑がただ事でないことを示している。
国の電力部門の発表によると、連日の高温で全国の電力供給量は上昇し、すでに昨年1夏の供給量を上回っているというから
猛暑の凄さが分かろうというものである。全国26の省や自治区の半数以上の地域で記録的な電力不足が続いており、河北市、北京、天津では電力使用量が過去最高を記録している。
この冬、41年ぶりの大雪と寒波で死傷者が続出した北京が、一転して記録的な猛暑に見舞われていることは、どう考えても異常な事態である。1月5日と15日に掲載したHPを見てみれば、異常さを実感されるはずである。(「アルゴアに見せたい北京の大雪」、「広がる異常気象
@」)
米国・東部で記録的熱波
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1935年にテキサスを襲ったダストボウル (ウィキペディア)
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一方、アメリカでも先月から熱波に襲われており、全国の3分の1
のエリアで華氏100度(摂氏37.8度)を超す記録的な高温がすでに4日間続いている。このため中国同様、電力使用量が鰻登りに上がっており、すでに最大出力ぎりぎりのところまで来ているようである。
オフィスビルは自発的に照明が消されエレベーターも停止、スーパーでは照明の3分の2しか点灯していない。列車は減速し、地下鉄駅ではエスカレーターがストップしているため、乗客は地上に出るのが大変のようである。現在は小規模の停電しか起きていないが、本番を迎えるこれからが正念場である。
アメリカ国立気象庁(NWS)によると、ニューヨークをはじめ、メリーランド州ボルティモア、ペンシルベニア州フィラデルフィア、ロードアイランド州プロビデンスなどで6日に最高気温の記録が破られた
ようである。
ニューヨークのセントラルパークでは、午後4時45分に103度(摂氏39.4度)をつけ、1999年につけたそれまでの記録101度(同38.3度)を上回った。
さらにボルティモア・ワシントン国際空港では105度(同40.5度)を記録している。
アメリカでは中国と同様、ここ数年、夏と冬にこうした極端な高温と寒気に襲われているが、世界恐慌が発生した1932年から35年にかけて、
夏場の異常な高温と農地の過剰耕作が原因で、アメリカとカナダに「ダストボウル」と呼ばれる記録的な砂嵐現象が発生している(上の写真参照)。 現在の経済情勢といい、熱波の襲来といい、歴史の繰り返しが起きるのではないかと心配になってくる。
インド・平均気温50度に迫る
インド各地では低緯度であることもあって、3月から、気温が異常に高い状態が続いており、52年ぶりの熱波に見舞われていることは、hp「インドの熱波」でお知らせした
通りであるが、5月になってからは多くの都市で、平均気温が摂氏42度以上を記録し続けている。
1週間の平均気温が48.5度に達している西部のグジャラート州では熱射病で少なくとも100人が死亡、マハーラーシュトラ州では92人、ラジャスタン州では34人が死亡し。その他、北部や中央部でも死者が出ており、全国では死者の数は300人を大きく上回っているようである。
熱帯地方にあるインドだから40度を超すのは当たり前のように考える人が多いと思うが、場所によっては今年は平年を6度も上回っていると言うから、尋常ではない。高温や
干ばつで湖などが干上がったことで、野生動物の大量死も発生しているようなので心配である。また、
農業にも大きな影響が出ており、北部地域では、小麦の生産が平年と比べて35%程度減少するとみられている。
猛暑にゆらめく陽炎(かげろう)の彼方に、食糧危機の到来が垣間見えるようである。