バブルの崩壊を阻止できるか?
|
|
|
|
高層住宅ラッシュが続く中国
|
|
中国人民銀行が19日、預金と貸し出しの1年ものの基準金利を0.25%引き上げると発表した。日本やアメリカが低金利政策やゼロ金利政策に移行しようとしているのとは反対に、金利を引き上げようというわけである。
2年前から、景気の急速な悪化を防ぐために数回にわたって金利を引き下げてきたが、いよいよ金融緩和から決別し引き締めに転じたというわけである。こうした背景の裏に全国的な広がりを見せている不動産バブルに対する懸念があることは明らかである。中国の不動産バブルについては、すでにHPでも何度も取り上げてきたように、いつ破裂してもおかしくない状況に来ていることは事実である。
当初は、バブルの中心は香港や海南島などの沿岸都市部やリゾート地であったが、最近は内陸部の小さな都市部でも投機目的の建設ラッシュが進み、バブル化の様相を呈していることが伝えられている。これらは民間人による値上がりを期待しての建設であるが、これとはまた別に、4月1日付のHP「資産バブルという蜃気楼」でも記したように、景気の回復を進めるために政府当局により進められてきた公営住宅の建設により、無人化の巨大住宅地
もあちこちに出現している。
先日中国を訪れた人から、地方を旅する最中、道路の左右に高層住宅が延々20キロ近くにわたって造られている箇所があり、それらの住宅には、人の住んでいる気配がなかったというお話しをお聞きした。まさにその方は私がHPで伝えた「空域」と呼ばれる人の住まない幽霊都市を目の当たりにしたようである。
こうした状況の中で、中国には今、世界的な金融緩和でだぶついた「熱銭」と呼ばれる投機資金が流れ込んで、さらなるバブル化に拍車がかかっている上に、洪水や干ばつ、猛暑などで
食料品の価格も上昇傾向にあり、インフレ傾向が強まってきている。今回の金利引き上げ程度でこうしたインフレを抑え、不動産バブルを軟着陸させることができるかどうか
、はなはだ疑問である。
というのは、金利の引き上げによる中国経済の先行きに対する不透明感でダウ平均や日経平均が大幅な下げを示す中、昨日の中国の上海総合株価
指数は上昇しているからである。投資に目がくらんだ人々が、まだまだバブル経済は続くと読んでいるとしたら、政府が考えているような軟着陸は難しいかもしれない。
この10年間で経済規模が10倍に膨張し、オリンピック、万博と脚光を浴びてきた中国であるが、いよいよ政府の舵取りが正念場を迎える時が来たようである。膨らみに膨らんだバブルの崩壊は容易ならぬ事態を引き起こすことは必至であるだけに、胡錦涛
・共産党政権の舵取りに注目したいところである。
共産党政権が資本主義経済を自在にコントロールした暁には、イギリスやアメリカは立つ瀬がなくなってくる。