停戦中のウクライナ東部では、年明け早々から小規模な戦闘が続いていたが、18日早朝からウクライナ政府軍による本格的な攻撃が再開された。攻撃の中心はこれまで比較的被害が少なかったドネツク市の中心部
、市内では砲弾で多くの住宅が破壊され、死者や負傷者が出ている。ウクライナ軍は軍事作戦上重要とされているドネツク空港の奪還を目指しているようだが、
泣きを見るのはいつものことながら一般市民だ。
今回のウクライナ軍の大攻勢は、数日前に起きたドネツク中心部の路線バスの砲撃がきっかけとされているが、OSE(ヨーロッパ安全保障協力機構)の調査団は路線バスへの攻撃はウクライナ軍の陣地から行われたという調査結果を出しているようなので、
バスへの砲撃を含め今回の一連の爆撃は、ウクライナ軍のドネツク空港奪還のための作戦であった可能性が大きい。
ロシア中央テレビは、今回の爆撃は停戦協定破りと言うより、完全な戦争の再開と言うべきものであると伝えており、どうやらこれで、停戦協定は完全に破られたものと判断して間違いないようである。財政破綻が取りざたされているウクライナ政府がなにゆえ戦争再開を急ぐのだろうか。フランスで50人の国家首脳を使って偽物の追悼デモを行った「闇の勢力」がここでもまた、裏で画策している
に違いない。
問題は停戦協定破棄によって、ロシアと欧米諸国との対立がこれから先一層深まることである。米国とサウジアラビアが手を結び、石油価格の下落を仕掛けていることは承知
の事実である。直近の原油価格は1バーレル当たり50ドルを割り込んで来ており、40ドル割れも時間の問題となっている。もしもこれから先、さらなる原油価格の急激な下落が続けば、通貨ルーブルはさらに安くなりロシアの経済破綻は免れられないかもしれない。
その結果、「欧米対ロシア」の経済制裁合戦は一段と進み、軍事行動の徴候も見え始めてくるかもしれない。ヨーロッパではイスラム国やアルカイダによる残虐なテロや
、それに反発する右翼系組織による暴動などが頻発することが懸念されているだけに、5日後に迫ったギリシャ選挙を機に世界情勢、中でも欧州情勢は一段と緊迫度を増してきそうである。