いつまで持つか「まやかしの世界」

２０日ベルギーのブリュッセルで、今月末に迫ったギリシャに対する支援策の延長を論議するユーロ圏財務相会議が開かれた。その結果、４ヶ月の支援延長でひとまず合意、とりあえず６月までは支援を続けることになった。しかし、それがEU内の分裂による混乱を回避するための、苦肉の先延ばし策であることは明々白々。

とりあえずの合意の条件として、ギリシャ政府が数日中に財政削減に対するより具体的施策案を提示することになっているところを見ると、今回、提出した施策案は支援を継続するのに十分でないことを意味している。したがって、新たに提出される施策案が財務相会議で容認されなければ、支援延長案は元の木阿弥となってしまう。

チプラス新政権が｢反緊縮」を旗印に掲げて誕生した急進左派連合の政権であることを考えれば、ユーロ圏全ての国々を納得させるだけの施策案が提示されることは難しいはずだ。中でも最大の支援金を拠出しているドイツを説得させるだけの厳しい緊縮策となればなおさらだ。

もしも、ユーロ圏各国が受け入れることが出来るようなな内容になるようなら、今度はギリシャの政権内に不協和音が広がり、また、チプラス氏を大統領に送り込んだ市民から猛反対を受けることになるのは必至だ。 そうなれば、ギリシャは再び議会の解散･総選挙へと向かう可能性は大で、最終的には、緊縮策の見直しを要求し続けるかどうかを問う「国民投票」に行き着くことになるかもしれない。

いずれにしろ、ギリシャ問題がこのまま無難に収まることはありそうもない。欧州だけでなく米国、中国、日本いずれの国も財政問題や経済危機の発生が表面化せずにいるのは、各国政府の先延ばし戦略によるもので、いずれ火の手が上がることは間違いない。みな「まやかし」によって延命を計っているだけなのだ。

ロシアもデフォルトの噂

国のデフォルトが心配されているのはギリシャだけではない。大国ロシアのデフォルトも噂に上がり始めている。そうした話は同盟国中国の専門家から語られているだけに、むげには出来そうもなさそうである。

先月２１日、ロイター通信は｢中国の視点・ロシア国内で経済を報道しなくなった、デフォルト間近か」と題するニュースを次のように伝えている。

専門家は今年に入ってから、ロシア国内のメディアがロシア経済について報道しなくなっている点を指摘。原油価格と通貨ルーブルの同時安の進行を受け、同国経済が数週間以内で急速に回復する可能性が小さいことから、ロシアのデフォルト（債務不履行）が予想以上に早く訪れる恐れがあるとのうわさが広がっている。

私はロシアの外貨準備高は原油が高騰していたここ数年間にかなり蓄えられているはずなので、今すぐにデフォルトという事態に至ることはないと考えているが、ただ、ここに来て米国の格付け会社が相次いでロシア国債を引き下げており、このまま原油安とルーブル安が進むようだと、銀行の倒産などが発生し、秋口から年末にかけて相当厳しい状況に追いこまれる可能性は大きそうである。