案じられるイスラム教嫌悪の広がり
 

 


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イタリアで「反モスク法案」成立

 
 

 
 


反イスラム教主義が広がり始めたイタリア北部の街で
アラーの神に祈るイスラム教徒たち(フランスF2)

 
 

先日のフランスにおけるイスラム過激派組織による連続テロ事件発生以降、ヨーロッパ各国で反イスラムの運動が広がり始めている中、2月2日、イタリア北部の州で反イスラム主義を掲げる「北部同盟」の議員らによる「反モスク法案」成立のニュースが伝えれた。

これはイスラム教の礼拝所であるモスク(寺院)の建設を禁止する法案で、イスラム教徒にとっては祈りの場を失うことになるだけに、大きな衝撃 を与えているようである。どうやらこれから先、イタリアだけでなくフランスやドイツなどでも、反移民・反イスラムを掲げる愛国主義者たちによるイスラム人排斥運動やモスクを狙ったテロ事件が 、ますます多くなってきそうである。

世界がいま一番恐れているのは、イスラム教の教えとは相反する思想を持った過激派集団の行動が、一般市民をも巻き込んで宗教的対立へと誤った道を進むことである。今ヨーロッパ各地に 移住しているイスラム教徒はかなりの数に達しているだけに、 イスラム系社会と一般市民社会との間に、嫌悪感や憎しみが増大するようなことになると、「キリスト教」対「イスラム教」の対立となって、深刻な事態を招くことになりそうである。

こうした対立の激化はネタヤニフ首相率いるイスラエル政府が今一番望んでいることではないだろうか。彼らは、ブラッドムーン(血の月)と呼ばれる赤みがかった皆既月食が 、4回連続して起きる昨年と今年を特別な聖なる年と考えており、この機に乗じて何らかの行動を起こそうとしているからである。

それは当然パレスティナやガザ地区に住むイスラム教徒に取って、歓迎できることではないことは確かだ。それどころか、世界中のイスラム教徒から猛反発を喰らうことになるに違いない。それを抑えるには、 イスラエル政府は欧米を中心としたキリスト教圏の国々から強い支持を得ることが重要 となってくる。そのためには反イスラム感情を欧米諸国に広めることが不可欠なのだ。 そう考えると、ヨーロッパおける今回の一連のテロ事件の背景が少しばかり見えてきそうだ。

 
 

 
 


反イスラム主義を掲げるヨーロッパの北部同盟の党首たち。
彼らの行動は一歩間違えると、イスラム教徒憎しの感情を世に広めることになる
 

 
 

アルカイダやイスラム国などの過激派組織の非人道的な活動は、 多くの人々の心を傷つけ嫌悪感を増長させている。今回の2人の日本人とトルコ人パイロットの残虐な殺害は 、さらにそれに拍車をかけることとなった。その結果、 困ったことに「イスラム教徒=邪悪な人間」といった誤ったイメージが産まれ、全てのイスラム教徒を嫌悪し憎む感情が発生し始めているように感じられる。

これは絶対にあってはならないことである。イエスの考えだけが正しくて、ムハンマドの教えが間違っているということとなって、争いが始まったら、十字軍の時代に戻ってしまう。その先にあるのは、憎悪が憎悪を産む負の連鎖の世界だけである。

昨年から突如登場してきたイスラム国(ISIE)やそれに刺激されて一段と過激化して来たイエメンのアルカイダなどのイスラム過激派の出現は、 イスラム教徒とキリスト教徒との間だけでなく、イスラム教徒同士の間にも「スンニ派」対「シー派」といった宗派間の対立を産み出し、アラブ諸国の間に争いに火をつけ始めている。それはイスラエルにとって願ってもないことである。アラブ諸国が混乱に陥れば陥るほど、イスラエルは目的を達成しやすくなってくるからである。

最近、マスコミでもイスラム国(ISIE)の豊富な資金源の謎があれこれと取りざたされ始めている。 スンニ派のサウジアラビアの金持ちが、イラクのシーア派政権を崩壊させるために送金している資金だとか、原油の販売益が最大の資金源であるなどと言われているが、資金供給源の一つにイスラエル政府がいるのではないかという説もある。世界に散ったユダヤ系商人から地下組織を通じて送金される資金を利用すれば、イスラム国への資金供給などお安いことである 。

イスラム教もユダヤ教もキリスト教も元をたどれば一つである。それがなに故、争いの元凶とならねばならないのか。 神の名を戦いに利用した者の最後は悲惨である。彼らの魂は物の始めであるチリに戻り、人の心を持つまでには気の遠くなるほどの歳月を経ることになるようだ。なんともお気の毒なことである。

 
 

 
 


ドイツでも移民排斥運動が起きており、メルケル首相は彼らの心の中に
あるものは偏見や冷たさや憎悪だと述べ、デモなどへの参加を戒めている

 




 

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