原油安・隠された裏事情 A
 

 


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ロシアに軍事行動を扇動

 
 

 
 


半減したルーブルはロシア政府や市民生活に大きな打撃を与えており、
経済の落ち込みと財政悪化はロシア国債を格下げに追いこんでいる
(NHK「クローズアップ現代」より転載)

 
 

前回の「原油安・隠された裏事情 @」では原油価格暴落の裏には米国のシェールオイルブームを崩壊させるサウジアラビアの隠された意図があることをお伝えした。しかし、それだけが価格暴落の要因ではない。ロシアが原油暴落によって通貨ルーブルも下落し、ダブルパンチを受けたことを考えればすぐに分かる。しかも、そのタイミングが、ウクライナ紛争が次第に悪化してきている時期であったことを考えれば、なおさらだ。

つまり、原油価格暴落劇の裏には米国のロシアに対する制裁の意図、つまり、ロシア叩きがあったと言うわけである。どうやら、米国には自国内の景気上昇の要因になっているシェールオイル開発ブームを、一時的とはいえストップをかけことになっても、ロシア叩きを優先しなければならない裏事情があったということである。

ロシアは輸出額の70%を石油などのエネルギーに依存している。それゆえ原油やガスの下落は国家財政に大きな痛手となることは言うまでもない 。石油高の際に備蓄したドルがあるため、すぐに海外からの物流が途絶えたり、デフォルトに陥るようなことはないが、これから先、プーチン大統領にとって頭の痛い点は、 原油価格の低下は通貨ルーブル安とダブルパンチで国家の財政収入減となって来ることである。

ルーブルは昨年の6月頃まで1ドル=34ルーブル台であったが、原油安と時を同じくして急落し始め、一時80ルーブル台まで下落(上の図参照)。今もなお70 ルーブル近くで留まっており、そのため 原材料や機材や食料品などの輸入物価が急騰しているばかりか、外国ツアーの価格が跳ね上がって旅行業界では顧客が減少して売り上げが80%近く下落、既に4000人の雇用が失われる事態となっている。

 そうした状況を踏まえて、一昨日、スタンダード・プアーズはロシア国債を10年ぶりに「投機的」とされる水準まで引き下げ ており、ロシア経済の先行き懸念が強まっている。

     
 


 
 

凍てついているのは気候だけでなく、ロシア経済も一緒である

 
 

ウクライナ紛争で欧米からの経済制裁を受け、市民生活が厳しい状況に置かれている時だけに、国民からの不満の声も次第に大きくなってきている。今のところはプーチン人気は高く、騒動に至るような状況にはなっていないが、さらなる原油安、ルーブル安、国債下落、それに欧米からの経済制裁が続くようなら、プーチン政権も安閑としてはおられなくなってくる。

そうなると、国の内外に牽制球を放つ意味でも、ヨーロッパに対して軍事的威圧行為を見せ始めることになるかもしれない。 すでにノールウエーの海域ではロシアの潜水艦と思われる艦船が出没しており、ロシアに接する幾つかの欧州の国々の上空に戦闘機が飛来しているが、これから先、次第にそう した威嚇的行為が多くなってきそうである。

米国とサウジアラビアが同床異夢で手を組むことにした原油下落劇であるが、さらにその裏には、世界を戦争状態に追いこもうとしている「闇の勢力」の隠された深い意図が見え隠れしているようだ。 その実体はこれからの世界の動きをしっかり見ていれば、次第に明らかとなって来るはずだ。時の流れが速まって来ているだけに、隠された意図が見え始めるのもそう遠い先のことではなさそうである。

 
 

 
 


プーチン大統領は「闇の勢力」に動かされている欧米諸国の意図を見事に見抜いているようだ。

 
 

先日プーチン大統領はサンクトペテルブルグの国立資源大学の学生達と懇談した際に、次のような大変意味深い事を語っている。どうやら大統領はウクライナ政府の軍事行動や原油安演出の裏には欧米の国々があり、彼らが ニューワールドオーダー(新世界秩序)を目指す「闇の勢力」の意図に沿って動かされていることを感づいているようだ。

我々はこれまで、ウクライナ軍はウクライナ政府の軍隊だと言って来たが、あそこで実際に戦っているかなりの部分は民族主義志願兵大隊とNATOの外人部隊だ。彼らはもちろん、ウクライナの国益を守るために戦っているのではない。まったく別の動機だ。それは「ロシア封じ込め」という地政学的な目的達成と結びついている。(本文は「ロシアの声」に掲載された文章を 、私が短くまとめたものである)

 どうやらプーチン大統領は、原油下落やウクライナ戦争など一連の動きの裏には、ロシアを封じ込めて「ロシア対欧米」の対決を引き起こす目的があることを、 察知しているようだ。ただそのプーチンとて人の子に変わりはない、「同じ穴のムジナ」となって闇の世界に向かって歩みを始めないとは限らない。いずれにしろこれから先、世界が一段と厳しい状況に向かうことだけは間違いなさそうである。




 

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