イラク戦争が産んだ狂人・バグダディ
|
|
|
|
イスラム国のバクダディ指導者
|
|
残虐な手法による統治で今世界に恐怖を撒き散らしているのがイスラム国( 通称 ISIS ) 。その指導者、アル・バクダディは一体どのよう
な経歴の持ち主であろうか。彼の実像と指導者に至る経緯を知る人は少ないと思われるので、その概略を記すことにした。
実は、今日のバグダディを生み出したのは他ならぬイラク戦争であり、その後の米軍の統治によってもたらされたスンニ派とシー派による内乱の発生であった。イラク戦争をさらにさかのぼれば湾岸戦争に行き着くわけだが、この二つの戦争を起こしたのは他ならぬブッシュ親子である。つまり「イスラム国」とその指導者「バグダディ」は、ブッシュ親子によってこの世に登場することとなったというわけである。
1990年代中頃、イラクの首都・バグダッドの大学に通っていたバグダディは、熱心にイスラム教を学ぶ非常に物静かで礼儀正しい学生であった。修士号や博士号を取得していることから、頭脳明晰な人物であったことも確かなようである。そうしたバグダディの運命を変えるきっかけとなったのが、2003年に起きたイラク戦争であったのだ。
イラク戦争の敗戦でフセイン政権が崩壊し、その後に米軍が駐留することになったイラクには、米軍やそれと一体となったシーア派政府に反発する
スンニ派系のイスラム過激派が台頭。 彼らは外国から流入したアルカイダ系組織と手を組んで自爆テロを起こすようになった。
バクダディは2004年過激派組織の友人と一緒にいたとこを米軍に拘束され、収容所へ収監された。この収容所はアルカイダ思想に染まった人々の集合
の場となっていたため、バグダディも 囚人達の影響を受けてジハード(
聖戦 )に目覚めるところとなった。
|
|
|
|
バグダディ指導者は10年前、イラクの米軍の収容所に収監された。
その時から彼の人生は一変する。それは世界が恐怖に陥る先駆けでもあった
|
|
1年して出所した後、彼が身を寄せたのが当時世界に名をとどろかしていたザルカウィの率いるアルカイダ系過激派組織。 その後彼は、頭の良いところを買われ財政責任者となり
、次第に頭角を現していく。ザルカウィ指導者が死んだ後、弱体化していく組織を立て直したのが、他ならぬ2010年にトップとなったザルカウィ
であった。
その後、シリアに進入しシリア政府軍、反政府軍(シリア自由軍)と三つどもえの戦いを進める中で、次第に勢力を拡大し
シリア北部の都市ラッカを拠点にイスラム国(
ISIS )の樹立を宣言。その後、出身国イラクへと進出しクルド軍やイラク政府軍を相手に主要都市を次々と陥落し、首都バグダッドに迫っていることは読者もご承知の通りである。
バグダディ自身は戦闘の経験が全くないため、戦闘員を指揮し命令を下しているのは、旧フセイン政権下のイラク軍の将校たちである。 兵士たちを「羊」になぞらえるなら、彼ら羊を指揮する将校は「犬」、そして「羊」と「犬」
の両者を操る「飼いの主」がアル・バグダディというわけだ。
|
|
|
|
「イスラム国」の統治制度
バグダディ指導者の下には旧フセイン政権下の
軍人やアルカイダ系の7人の専門職がいる。 |
|
大量破壊兵器一掃という絵空事の大義名分で米国が行った、イラク戦争という悪事は罪のない多くの人々を死に追いやり、平穏な生活を送っていた一般市民を恐怖と悲しみの世界へと追いやった。 この悪事は今、新たな悪事を引き起こし、シリアやイラクと言ったアラブ諸国だけでなく
、ヨーロッパ諸国をはじめ世界中の人々を恐怖に陥れようとしている。
イスラム国の陣地に2300回を越す空爆を行っているものの、確たる成果が見られない中、米国は今、イスラム国の扇動に乗った若者たちによって、
自国内でいつテロが起きるか分からなくなっている。
こうしたテロの発生を押さえようと、オバマ大統領は、特殊部隊による限定的作戦という名目の下、どうやら地上軍による武力行使を考え始めたようだ。
連合軍が去ったアフガンやパキスタンでは再びアルカイダ勢力が勢いを増してきており、状況によっては米国は両国へも再び派兵せざるを得なくなってくるかもしれない。自分で蒔いた種は自ら刈り取る、これが自然の摂理である。
今、米国には、自らが蒔いたカルマを刈り取るために、さらなる出兵と自国内テロという二つの脅威が待ち受けているようだ。
どんなに言葉を尽くそうが、戦争は殺し合い以外の何物でもない。ましてや理不尽と不条理に満ちた戦争ともなれば、その戦場は阿修羅の場となることは必定。だからこそ、今米国では、
そうした戦場から戻った復員兵たちに、1日に22人の自殺者が出ているのだ。 それにしても。自国と自国民に、これだけの大変な重荷を背負わせたブッシュ一族が背負ったカルマはいかばかりか。考えただけで身の毛がよだつ思いである。
|
|
|
|
大量破壊兵器一掃という絵空事の大義名分で始まったイラク戦争。
米国には今、自らがが蒔いたカルマの刈り取りが迫っているようだ。 |
|
追記
イスラム国とバグダディの誕生の経緯については、NHKの番組を参考にさせて頂いたが、後日、両者の実体をさらに調べた結果、「イスラム国とバグダディの実体」に記したようにNHKが伝えた内容とは大きく異なっていることが判明した。その点を踏まえて読んで頂きたい。
|