ギリシャに新政権が誕生し世界が注目する中、ツィプラス新首相とバルファキス財務相が二人三脚でEU各国歴訪に動き出した。先ず首相はキプロス、イタリアと回り、その後フランス、EU本部を訪問。キプロス、イタリア、フランスは共に財政問題で苦しんでいる国々であるため、どちらかというとギリシャに同情的な面を持っているから歓迎ムードで迎えられた。
問題はギリシャに対する最大の融資国であるドイツ訪問である。メルケル首相は融資の条件としている緊縮策については一歩も譲らぬ考えを持っているだけに、借金の減免や緊縮策の見直しを施策の柱に据えているギリシャ新政権にとっては最大の難関である。
先ず、バルファキス財務相がドイツを訪問し、ベルリンでショイブレ財務相との会談を行ったが、予想通り意見の違いは埋まらず、話し合いは平行状態のままで終わってしまった。時を同じくして欧州中央銀行(ECB)がギリシャ国債に対する特別措置を取りやめると発表したことから、ギリシャの金融市場は大混乱に陥った。
特別処置の取りやめというのは、ECBが信用度の低いギリシャ国債を特別に認可して、それを担保にギリシャの銀行に融資をしてきた制度を取りやめると言うことで、ギリシャ市民が銀行に対する不信感から預金引き出しに殺到しているときだけに、資金繰りに苦しむ銀行にしてみれば大変なことである。案の定、ECBの発表を受けて、ギリシャ国債は暴落し、株式市場も10%の下落、銀行株は20%の暴落となった。
この市場の大混乱を受けてECBは大慌てとなって、急遽600億ユーロ(約8兆円)の国債担保融資を承認するところとなった。これで金融市場はどうにか落ち着きを取り戻したが、なんとも人騒がせなECBの措置で、一体何を考えているのかと市場からは大反発を受けるところとなった。
まさにこれから先の混乱を暗示するようなドタバタ劇であったが、世界の金融市場がギリシャ情勢に一喜一憂する状況は当分続くことになりそうである。