環境重視のはずの中国政府が封鎖へ
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PM2・5による大気汚染問題を扱ったドキュメンタリー
の報道自粛を
中国政府が支持したことを伝えるアメリカのウォールストリートジャーナル紙
右側に写っている女性が映画制作者の柴静さん
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中国で、PM2・5をめぐる問題を告発する動画「紺空の下」が、わずか1日でネット上で1億回を超える再生回数を記録し大きな話題となっている。動画を作ったのは、国営中央テレビの元記者・柴静さん。1年前に産まれた長女が先天性の病気を発病、大気汚染との関係が疑われたことから、中国を覆うPM2・5の原因と背景を探るドキュメンタリーを作成することになったというわけである。
約100万元(約1900万円)の制作費を自己負担し、1年をかけて完成させた100分超の動画は、中国が国を挙げて経済成長を追い求めた結果、様々な環境規制が企業の利益や雇用の維持を理由に
、守られてこなかった実態を明らかにしている。
一党独裁政権下で強い情報検閲の敷かれる中国では、こうした社会の暗部を照らす報道を行えば、拘束や逮捕など不当処罰が加えられる可能性がある。これを踏まえての映像公開は勇気ある行為として、ネットを中心に各界で賛辞が巻き起こった。
環境保護相も大気汚染問題を正面から切り込んだ柴さんに謝意を伝えていたほどだ。しかし、反響の大きさのためか、中国中央宣伝部は国内メディアに対し、ドキュメンタリーを過度に宣伝しないよう通達し、すでにドキュメンタリーの評論記事や映像のリンク先の削除が行われ始めている。
中国全土の4分の1、全人口の半数近い6億人へ影響を与えている深刻な大気汚染問題は、企業だけの責任だけでなく、政府と地方政府の監督責任も問われる問題だけに、 ドキュメンタリーは国際会議
の開催中だけ青空を見せて得意になっている習近平政権にとって、決して心地良いものでないことは明らかだ。だからこそ規制がかかったのだ。
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全人代でも環境対策は最重要課題とされたが
柴静さん制作のビデオに規制がかかるようでは中国の
空からPM2・5が消えるのは遠い先のことになりそうだ。
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それにしても、公開初日から1日で1億回を超す再生回数というのは驚きである。いかに中国国民が大気汚染を長い間放置してきた政府に対し、強い不満と不信感を持っているかを示している。今もなお、中国全体の9割の都市が大気汚染基準を満たしておらず、マスクなしでは外出できない日が昨年だけでも175日、1年の半分に達しているのだから当然と言えば当然のことである。
5日から開催されている全国人民代表者会議(全人代)で、李克強首相は環境問題対策に力を入れていくことを明らかにしているが、それは地方政府にとって大変なプレッシャーとなる厳しい対策である。
忠実に実行しようとすれば、地方経済が急速に減速することは明らかだからだ。
それは即、周近平政権が掲げた2015年の経済成長率目標7%の達成をより困難なものとすることになるだろう。だからこそ、李克強首相は目標成長率を7%と明言せず、「7%程度」と曖昧な表現にしているのだ。世界覇権を目指す大国中国政府のするにしては、なんともお粗末なやり方だ。
いずれにしろ、早急な改善は無理であることは確かなだけに、これから先、癌患者や気管支炎の患者が急増するようなことになった時には、社会動乱に発展する可能性は大である。
政府もそれを一番恐れているのだ。
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この汚染の中で暮らす国民の不満が政府に向けられる日がいつか必ず来る
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マスクなしで外出できない人々は大変だ。これが世界の覇権を狙う国の実態だ!
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