米国・東部は26日から27日夜にかけて、前例のない大雪と強風に見舞われており、ニューヨーク州やマサチューセッツ州など8つの州で異例の非常事態宣言が発令されている。これだけ広い範囲での非常事態宣言はかってないことである。
ボストンやニューヨークの空港では7000便が運休、一部の道路が通行禁止となり、行政機関のほとんどが閉鎖され、多くの学校が休校となっている。
ニューヨーク市では地下鉄もバスも運行停止となり、緊急車両と除雪車両を除く一般車両の通行禁止が発動されており、市当局からは夜間の外出を控えるようにとの忠告も出されている。そのため、昨夜は電車も車も早めに家路につく人でごった返し、非常食を買い求める人でスーパーは満杯、棚からはあっと言う間に商品が消えてしまったようだ。
低気圧の進路が少し東にずれたため、幸いにも市内は30センチほどの雪で最悪の事態は免れたようだが、郊外は90センチを越す積雪で停電も発生、多くの人々が暖のとれない寒い夜を迎えている。なんと言っても凄いのが、視界ゼロの猛吹雪が丸1日以上続いているマサチューセッツ州である。
マサチューセッツ州の東部は海岸に接しているため、沿岸部では風速30メートルのハリケーン並みの強風で高波にも襲われている一方、沿岸部から離れた地域では80センチを越す大雪に見舞われており、「積雪」と「洪水」の両方の被害に見舞われるという異常事態となっている。
沿岸部を襲った大波は市街に押し寄せて一部の地域では家が水につかり、車がプカプカと浮いている。一方、内陸側では1メートルの大雪で車が雪に埋まり、外出が出来ない状況が今もなお続いている。街が大雪と洪水に同時に襲われるなどということは、これまでに聞いたことがない。
今回のモンスター・ストームについては2日も前から異例の警戒警報が出され、我が国のテレビでもその様子が放送されていたが、実際に低気圧が到来すると、予想通りの前例のないほどの雪と寒波と強風に見舞われ、日常生活がまったく麻痺してしまった州も出ているようである。
通常この時期のモンスター・ストームは西部からの低気圧によるケースが多いのだが、今回は東海岸沿岸部を南から発達しなから北上した大型の低気圧によるものであったようだ。この異例の低気圧の発生は東海岸沿いの海水温度が2度以上高くなっていることが要因だったようである。
どうやらメキシコ湾から東海岸一帯にかけ、海水温に異常が発生しているようである。この点はこれから先も注意しておく必要があるようだ。フィリピンを襲った大型台風も、南太平洋一帯の海水温の異常な上昇が要因であると言われているからである。何が海水温の上昇をもたらしているのかについては、改めて別の機会に書くことにする。
厳しい寒さが続いているのは北米だけではない、日本も同じである。この寒さが去った後、夜桜を楽しむことが出来るのはまだ2ヶ月ほど先のことである。しかし、すでに満開の桜を楽しみ始めている人々がいる。それはタイ北部の山岳地帯に住むモン族の人々や美しい桜を見ようと遠くから押し寄せている観光客だ。
ヒマラヤ桜はヒマラヤが原産地で、この時期から標高2200メートルを越す高地で開花し、2月に入ると満開を迎える。気温が低ければ低いほど綺麗に咲くようで、昨夜の気温は11度、掲載した写真を見ると、ヒマラヤ桜にしてはちょうど良い気温であったようだ。
不思議なのは、タイでは桜のことを「サクラ」と呼ぶことだ。偶然にしては少しばかり変である。日本民族の一部は遠い昔、タイやベトナムなどの南アジアから移住してきていることを考えると、タイから日本に渡ってきた人々が異国で咲くヒマラヤ桜に似た美しい花を見て、桜と名付けたのが我が国の桜の名の始まりかもしれない。
暗いニュースばかりが続く昨今、読者におかれては一足早い満開のヒマラヤ桜を眺めて、心を癒して頂こう。