トランプ大統領中東和平案を発表
イスラエル寄りの和平案にパレスチナ強く反発
|
|
|
|
中東和平案を発表する席にはイスラエルのネタニヤフ首相が臨席。
この二人の男によってこれから先、世界は混乱に導かれることになるかもしれない。 |
|
大統領の弾劾裁判で揺れている米国では、昨日、トランプ大統領がおのれの弾劾裁判などなにするものぞとばかりに、イスラエルとパレスチナとの和平に関する独自の中東和平案を発表。その内容はイスラエル側のこれまでの主張を一方的に認めたもので、11月の大統領選挙のための選挙キャンペーン以外の何物でもない
ものであった。
和平案の要点は次の2点
@ 聖地エルサレムの帰属権に関すること。
A ヨルダン川西岸の入植地に関すること。
@に関しては、「エルサレムは不可分の土地で、全てイスラエルの首都である」とし、Aについては、イスラエルが行ってきている入植活動が国際法上認められた行為ではないのに、「入植活動は正当な行為で、入植地のほとんどをイスラエル領土に併合することを認める」というものであった。
この2点がいかに理不尽なものであるかは昨年11月の記事「トランプ政権方針転換の真相」を読み直して頂ければご理解いただけるはずである。そもそも今のイスラエルに住んでおられる人々の内90%は、聖書に登場するイスラエル王国に住んでいたユダヤ人ではなく、血統的にはユダヤ人とは何の関係もない中央アジアに住んでいたカザール人であった。
しかし、そうしたユダヤ人によって建国されたイスラエルは、同じ血を引く米国に移り住んだ富豪たちからの巨大な資金援助によって所持した軍事力で中東諸国を滅ぼし、古くから多くのパレスチナ人が住んでいた土地を我が物にするところとなったのである。
トランプ大統領や側近がそうした経緯を知らないはずはない。しかし、11月の大統領選挙に向けイスラエルを支持するキリスト教福音派にアッピールするために、またもやイスラエル寄りの理不尽な政策を実行するところとなったのである。
|
|
|
|
トランプ大統領の発表に強く反発するアッバス議長。もはや中東和平は無理のようだ。
|
|
トランプ大統領の発表に対して、パレスチナ暫定自治区のアッバス議長は早速テレビ演説を行い、「聖地エルサレムは売り物ではない」と強く反発。和平案の交渉につく気持ちが全くないことを明らかにした。そうなることは分かり切ったことだけに、世界はトランプ大統領の今回の発表を冷たい目で見ることになるに違いない。
問題は一連のトランプ政権によるイスラエル寄りの政策が次々と実行に移されることによって、パレスチナの不満と反発心が高まってくることである。特に心配なのは、パレスチナ暫定自治区に住む人々だけでなく、隣国・ヨルダンやシリア、レバノンで難民として暮らす550万人に達する生活困窮者たちの問題である。
彼らは国連のUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)によって運営されている700の学校、140の診療所、食糧支援団体等に頼って生活している人々であるが、心配なのはそうした人々の未来である。というのは、トランプ大統領が昨年、パレスチナ政府に圧力をかけるためにUNRWAに対する資金援助を打ち切ったことから、日本などが支援金の上乗せをして何とか続けてきているのだが、来年以降は支援が続けられなくなる恐れがあるからである。
先に来日していたパレスチナのアフマド難民問題担当官は、「もしもこうした支援活動が途絶えることになったら、この地区は日々の生活が立ち行かなくなり、米国の身勝手な行為に対する不満が爆発することになるかもしれない」と語っていた。となると、これから先、難民の不満は中東における新たな火種となり、米国対イランの対立と相まって中東をさらなる混乱状態に巻き込むことになる可能性は大である。
今は米国対イラン情勢に世界の関心が向けられているため、今回のトランプ大統領による中東和平案の発表はあまり関心が向けられないまま終わってしまうかもしれないが、そう遠くないうちに、大統領の行ってきた一連のパレスチナ人無視の行動は、自己中心的なとんでもない行為であったことが分かることになるのではなかろうか。
|
|
|
|
聖地エルサレムの地はトランプ大統領によって、
どうやら世界を混乱に導く地と化してしまったようである。
|
|
|