中国のコロナウイルスがもたらす
金融危機
日本の地方銀行78行に襲い掛かる倒産劇
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これから先は中国経済の動向から目が離せなくなってきそうである。 |
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新型コロナウイルスの勢いは、発生国中国では徐々に弱まって来ているものの、隣国・韓国やイラン、イタリアなどでは急増しており、韓国では昨日明らかになった感染者数は
594人増え、累計で2931人となる一方、イタリアやイランでも889人、388人
と急増している。ただイランにおいても中国同様、政府が感染者の数をかなり抑えているようなので、実際の数値はイタリアを上回っている可能性もあるようだ。
さらに気になるのは米国での発生件数の増加である。現在は64人ほどに留まっているが、トランプ大統領が先行きに懸念を表明したことからすると、その数が急増してくる可能性は大きそうである。
ここ数日ニューヨークの株式市場は急落し続け、
ダウ平均の下げ幅は私の予想を上回り3500ドルを超える事態となっているが、それはコロナウイルスのまん延が世界的規模で拡大していることと、米国自体の感染率の増加を先読みして多くの投資家が売りに回っているからである。来週からの世界的な感染者数と死者の推移によっては、現在の2万5400ドルから更なる下げが発生することになるかもしれない。
遠からずして、世界保健機構(WHO)のテドロス事務局長から、新型コロナウイルスの世界的感染拡大について、「パンデミック」(世界的流行)宣言が発表されることになるのではないかと思われるが、それも又株価急落に追い打ちをかけることになりそうである。
こうした危機的状況で一番懸念されるのが、世界経済の先行きである。当初は年初から始まった低成長率も4月末あたりを境にして、感染拡大の低下とともに一気にV字型回復す
るのではないかというのが、大方の見方であった。しかし、ここに来てそうした楽観論は一気にしぼみ、想像以上に景気悪化は長引くのではないかと警戒感が広がっている。
そうした状況下、先行き経済の一番の問題点は、ウイルスの発生源となった中国の景気の動向である。このまま感染者数や死者数が減少していったとしても、輸出先の大手である米国や日本、韓国、さらにヨーロッパや中東の感染率の増加が先に延びるようなら、そう簡単にV字型回復は無理だと思われる。
それと同時に中国自体が休止状態に陥っている企業を正常に戻すことが出来るかどうかさえ不確かである。
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絶対に安全な預け先だと思っている銀行も、世界経済の
動きいかんで、どうなるか分からなくなりそうである。
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そこで私が一番気になるのが我が国の銀行、中でも地方銀行の先行きである。マイナス金利が続く我が国、顧客から預かった預金を貸し出して
その金利差で利益を得ているのが銀行の実態である、日本銀行の打ち出した低金利政策で現在の貸出金利は1%前後。これでは、企業に1億円貸しても利益はたった100万円。一方、肝心な企業などへの融資は長引くデフレで増えないまま。これでは金利による収入は減る一方である。
銀行は余った金は日本銀行に預けることとなるが、その時の預金の金利は企業への融資を増やすために日銀が行った政策でマイナス金利。これでは銀行はやっていけない。そのため今銀行が行っている政策は、振り込み
に対して手数料を取るだけでなく、これから先は新規に口座を開設する際にも手数料を取ることになりそうである。
こうした厳しい環境におかれている銀行であるが、私が一番心配しているのは国内への貸し出し額の伸びに比べて、海外への貸し出しや海外債券に対する投資の伸び率が、この10年けた違いに伸びている点である。
下に添付した図を見てもらえれば、国内への貸し出し額がこの10年で約70兆円であるのに比べ、対外債権の購入額は340兆円に達している
のがお分かりになるはずだ。
だぶついたお金をニューヨークやロンドンなどの国際金融市場を介して海外に投資しているのである。その海外融資
先の中で、アベノミクスが始まった2012年末から最も高い伸びを示しているのが中国なのである。そして中国はそのお金を不動産投資や軍備増強などに回しているため、今中国経済はバブル化して来ているのである。
そうした中国が新コロナウイルスのまん延で大変な状況に陥っていることを考えると、V字型回復とは裏腹にバブルの崩壊に向かう可能性もありそうである。もしそうなったとしたら、2008年に不動産価格が高騰しその後バブルがはじけ飛んだ米国で、大手金融機関が倒産したリーマン・ショックの再来となる可能性は大である。
今回のコロナウイルスショックによって、もしもバブル化している中国の経済が崩壊することになったら、その中国に多額の融資をしている日本の銀行はリーマンショックを超える
大打撃を受けることになるのは必至。その時には、銀行、中でも
経営基盤に問題のある地方銀行の倒産が驚く数に達する可能性は大である。もしそうなったら、取引先の企業の資金繰りが滞り、我が国でも倒産が相次ぐことになるに違いない。
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日本の銀行の国内への貸し出しに比べて外国への投資がけた違いに
大きいことと、中国の外国からの借入額の異常な伸び率とが分かる。
(資料は産経新聞社の特別記者である田村秀男氏によるもの)
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ここで一言申し添えておきたいのは、銀行は安全なお金預けの場所であると考えておられるとしたら、その考えは見直して
おかれた方がよさそうだという点である。ある朝、銀行に引き出しに行ったところ、銀行は閉ざされており一切預金引き出しが出来なくなっていることも
、絶対にないとは言えないからである。
そうした事態が連鎖的に起きた時、政府が何とかしてくれるなら結構だが、1300兆円を遥かに超えた天文学的な借金を抱えた国が出来ることは知れている。国の抱えた借金は1億1000万人の国民一人当たりにすると、1000万円を超す大変な金額になるのだ。
もしも、東京証券取引所に上場している78行の地方銀行に倒産が始まったら、あっという間に連鎖倒産に陥り、半分、最悪の場合は3分の2行が後を追うことになるかもしれないのだ。
もちろん危機的状況と化すのは地方銀行に限ったことではない。信用金庫や信用組合はもとより、安全とみられている都市銀行でも同様なことが起きないという保証はない。
最近の世の中、様々な面で「まさか、まさか」の連続であることは読者も十分にご承知のはずだ。かって経験したことのない異常気象や天変地異、政治や世情の混乱による紛争、
株価の急落、ウイルスのまん延による混乱、国家や組織の二分化による分裂、これらは皆、私がこれまでに語り、記して伝えて来たことばかりである。
私が口が酸っぱくなるほど繰り返し伝えて来た「マスクとゴーグルの備えの必要性」によって、徳乃蔵に来館された方が嬉しそうに語っていたのは、「お陰様でマスクもゴーグルも十二分に用意出来ていたことはなにより嬉しいことです」であった。富士山や九州の阿蘇山
、北海道の旭岳の噴火が始まった時もまた、「マスク」と「ゴーグル」がなければ外には出れません。忘れないでおいて頂きたいものである。
私の著書をお持ちの方は、
この際、是非もう一度しっかり読み直しておいて頂きたい。どうやら、20年前から私が伝えて来た、まさかに備えてしっかりと準備をしておく必要性を実感する時が近づいて来たようである。備えあればうれいなし、あとは
あまり恐れは持たずに、平常心で明るく楽しい日々を過ごすことである。笑いはウイルスに対する免疫を作る上で最高の手段であるからだ。
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