2月19日付の記事「アフリカで大量のバッタ発生」で、アフリカでサバクトビバッタが大量に発生し、ケニア、ソマリア、エチオピアなど7カ国で過去最悪の被害が拡大する一方、南西アジア各地でも同様な状況が発生しており、対策のいかんでは、アフリカだけでなくアジアの多くの国々でも、食糧危機に見舞われることになりそうであることをお伝えした。よもや忘れてはいまい。
こうした中で新型コロナウイルスの発生で混乱状態に陥っている中国は、また新たな難問に遭遇しようとしている。それは南アジアで農作物に甚大な被害をもたらした大量のサバクトビバッタが中国に到達する可能性が高まって来ているからである。
中国国家林業草原局は、東アフリカで発生しインドやパキスタンに広まったサバクトビバッタの大群の数が、6月までに現在の500倍に急増し「
中国への進入リスクにさらされている」と警告。2月27日、各部門に蝗害(こうがい
)(バッタによる被害)の拡大防止体制を整備するよう求める緊急通知を発表した。
既に中国への襲来に可能性についてはブログ等で伝えられていたが、中国当局が強く否定していたため掲載を見合わせていたが、担当部局が警告を発したということは襲来の可能性が増したことは確かであるので、お伝えすることにした次第である。
国家林業草原局の通知には、サバクトビバッタが「いったん中国に襲来すれば、(生態)法則の不明や監視・観測技術の不足、防止・コントロール困難など多くの不確実性に直面する
ことになるだろう」と記されている。その上で各関連部門に対して、蝗害拡大防止対策の重要性を認識し、国内外の蝗害に関する情報をタイムリーに把握するよう求めている。
どうやら、国家林業草原局は5月終わり頃から6月、7月の農作物の成長期にかけて、大群と化したサバクトビバッタの来襲が起き、被害が発生する可能性が大きいと判断したようである。またバッタの大群の来襲のコースとしては次の3つのルートを予測している。
1つ目はインドやパキスタンを経由しチベットに進入するルート、2つ目はミャンマーから雲南省へのルート、3つ目はカザフスタンから新疆ウイグル自治区に入るルートである。
いずれにしろ、もしも、中国国家林業草原局が恐れているようなサバクトビバッタの来襲によって、中国において作物の不況が現実となった時には、コロナウイルスのまん延で人心の動揺が広がっている時だけに、中国社会は
「経済の低迷」と「食糧難」が重なって、国家的な混乱状態に陥る可能性が大きそうである。
ただ、サバクトビバッタが中国を襲った時には、我が国や韓国などに被害が及ばないという保証はない。明日は我が身と考えておいたほうがよさそうである。
どうやら、地球を半周する地球的規模の災害の発生はコレラウイルスだけではなさそうである。