米国のカリフォルニア州一帯の降水量が激減し、記録的な干ばつ状態になり始めたのが今から4年前、そうした異常な状況については、これまでに何度かお伝えしてきた通りであるが、いよいよここに来てブラウン州知事が州全土に水の使用の25%制限の行政令を発令する事態となった。
渇水がいかに厳しい状況にあるかは、添付した写真をご覧になれば読者にも分かるはずだ。当初は庭の芝への放水や車の洗車などを自粛する形で、渇水対策が続けられてきていたようだが、もはやそのような悠長なことを言っておれない状況となってきており、州民全体に対して25%カットを法令として発動する事態となったと言うわけである。
この1〜2年、食器洗いやシャワー、水洗トイレといった日常生活に使う基本的な水の不自由な状況が続いていたが、ここに来て、州中心部の一部の街では井戸から汲み上げていた水が完全に枯渇してしまい、週に1〜2回の市の給水車の配送に頼る状況となっている。
一方、農業においても厳しい状況が続いており、既にブドウなどの果樹園を経営する農家や牛を放牧する農家の廃業も数多く出ており、ワインや牛肉が高騰し始めている。これから先こうした価格の高騰は米国全土に広がりそうで、ジェリー・ブラウン州知事はこれから先、気候変動がもたらす影響が米国全体に及ぶことになることを承知しておく必要があると語っている。これは大変重要な発言で、しっかり受け止めておく必要がある。
取水制限が発令された4月1日の翌日、ブルームバーグがHPで非営利パートナーシップ、「リスキー・ビジネス・プロジェクト」が気候変動によって、さらに深刻な状況が待ち受けていることを示唆する調査結果を発表したことを伝えている。
調査結果によれば、世界有数の農業地帯である同州では、気温が35度を超える平均日数が今世紀末までに2倍、あるいは3倍にまで増加する可能性があり、また、海水面の上昇により沿岸部の不動産190億ドル(約2兆3000億円)相当が消え去る可能性が高いという。
また、報告書は気温上昇に伴って山火事発生の頻度が高まるほか、大気汚染による呼吸器疾患が増加し熱波に関連した死亡率が高まることが予想されることや、カリフォルニア州では今世紀末までに年間約7700人が熱波に関連して死亡する可能性が高いことも伝えている。
こうした今世紀末までという長期的な見地に立った報告書とは別に、もしも、この4年間の降水量の激減状態がこれから先も続くようなら、わずか1年後には、カリフォルニア州の多くのエリアで水がさらに枯渇し、日常生活が難しくなるのではないかという、見通しを立てている人々もいる。最近の米国全体を襲っている異常気象の様子を見ていると、カリフォルニア州の渇水はさらにひどくなり、来年の夏場が終わる頃には、一部の住民の避難が始まる地域も出て来る可能性もありそうだ。
下に掲載した写真は、4年前の満々と水をたたえた状況と現在の枯渇した状況を比較したものである。米国ABCニュースが伝えたこれらの写真を見てもらえれば、いかに今、カリフォルニア州の渇水が切迫した状況となっているを理解してもらえるだろう。
読者はカリフォルニア州といっても米国のほんの一部ではないかと思うかもしれないが、 3800万人が暮らすカリフォルニア州の面積は我が国の国土全体より広く42.40万㎢という広大な面積である。
つまり、日本全土が4年間にわたって渇水状態となっていることになるわけだから、いかに異常であるかが分かるはずだ。