カルマを背負ってさ迷うユダヤの民
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昨年のイスラエルによるガザ地区への戦闘以降、
ヨーロッパ各地でユダヤ教徒を狙った襲撃事件が相次いでいる
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ナチスドイツがユダヤ人を虐殺したアウシュビッツ強制収容所の解放から70年目になる節目の今年、ヨーロッパ各地でユダヤ教礼拝所や店舗が襲われるなど、ユダヤ人に対する差別や襲撃事件が相次いでいる。そのきっかけとなったのが1月のフランスの出版社襲撃事件であった。その後、デンマークやベルギーでも犠牲者が出る事件が次々と発生している。
こうした状況にヨーロッパに住むユダヤ人の間に不安が広がり、
住み慣れた国を離れてイスラエルに移住する人達が急増している。
ヨーロッパで最もユダヤ人の人口が多いフランスでは、近年イスラエルへの移住者が2012年の1920人から2014年の7000人へと急増しており
、今年は1万人に達するのではないかと言われている。
これだけ急激に移住者が増えているのは、単にイスラム過激派によるテロに恐れを抱いているからだけでない。 欧州に住む一般市民やイスラム系住民による
「反ユダヤ主義」が、やがて忌まわしきアウシュビッツ虐殺の再来につながるのではないかと恐れているからである。 。
先日記した「イスラム国とバグダディの実体」を読まれた読者は少々驚かれたことかと思うが、欧米人の中には、
過激派集団・イスラム国(ISIS)が突如登場した背景に、イスラエルや米国の存在が見え隠れしていることを感づいている人が多いようだ。特にユダヤ人やイスラム系住民は本能的に感づいている
ようである。
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フランスからのイスラエルに移住する人々の数は、3年前の5倍に達しようとしている
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「大イスラエル国家」建設構想がもたらすもの
昨今のイスラエル政府のパレスティナに対する強硬な政策が、反ユダヤ主義に油を注いでいることもユダヤ人にとって不安の種となっている。 イスラム系住民だけでなくヨーロッパの一般市民の目にも、他国の領土を虫が食い荒らすように奪い取っているイスラエル政府の入植政策は、人の道を外れた行為だと写っているはずだ。(「イスラエル選挙がもたらすもの」参照)
だからこそ
、ネタニヤフが右派政党と組んで推進しようとしている入植政策に身の危険を感じ、「反ユダヤ主義」の動きに火がつく前に唯一の身を守る地、イスラエル
への移住を始めているのだ。イスラム国の戦闘員をシリアやイラクへと送り込み、アラブ諸国を混乱に陥れようとしているイスラエルの裏工作もユダヤ人なら分かっているはずだ。
しかし、彼らがイスラエルに逃げ延びて住むことになる土地は、パレスティナから武力でもぎ取った入植地なのである。なんとも皮肉な話ではないか。
これでは、ネタニヤフ
が推し進めている「大イスラエル国家」樹立への足がかりとなる入植政策を後押していることになってしまう。ネタニヤフにとっては願ってもないことであるが。
2000年前、エルサレムの丘で聖者イエス・キリストを張り付けにしたその日から、ユダヤ人の未来に苦難がつきまとうことは、すでに30数年前の「聖母の預言」で伝えられている通りである。 ヨーロッパの地に残ろうが
再びパレスティナの地に戻ろうが 、ユダヤの血を引く人々は、犯したカルマから逃れることは出来ない定めなのだ。
カルマというものはそれだけ強いパワーを持っているのである。
ドイツでは今、元ナチスの親衛隊員であった人物に対する最後の裁判が開かれようとしている。ユダヤ人にとっては、この裁判を最後に70年の歳月を経て、ようやく忌まわしい強制収容所の記憶から解放されようとしているこの時、再びイスラエルの地に逃げ延びねばならない状況が発生しようとしているのだから、皮肉である。
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地獄のアウシュビッツ収容所から解放されるユダヤの人々。
70年後の今、再び彼らはユダヤの民であるがゆえに背負った
カルマの刈り取りのために、厳しい状況に置かれることになりそうである。
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追記
徳乃蔵の「最後の楽園PERU」展は、今月いっぱいで終了します。「コビトタイランチョウ」や「アナホリフクロウ」たちの発する聖なるエネルギーで、心を癒されんことを願っております。
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