昨日「ギリシャ協議物別れ」で記したように、IMF(国際通貨基金)に対する支払い期限が迫る中、ギリシャとEU(欧州連合)との協議が物別れとなり、あとは22日に予定されているEUの首脳会議の結論待ちとなっている。
昨日の記事に追記しておいたように、今ギリシャでは一般市民による銀行からの現金引き出しが急増しており、その額は最近の3日間で20億ユーロ(2700億円)、16日には1日で10億ユーロ(1350億円)と前例のない金額となっている。
欧州中央銀行は急遽ギリシャ中央銀行に30億ユーロ(4000億円)を追加拠出することにしたようだが、このところの引き出し額を見れば、この程度の額ではわずか数日しか持たず、22日の首脳会議までのその場しのぎに過ぎないことがわかる。国民全体に広がるパニック状態には至っていないが合意の展望が見えないだけに、国民の動揺は大きいようだ。
一方、チプラス首相は19日、ロシアを訪れプーチン大統領と会談しいている。 表だった対談の要点は、ウクライナ経由で引いているガスパイプラインをトルコ経由に変更する「トルコストリーム」計画に、ギリシャも参加することを表明するためとなっているが、本音はロシアからの資金援助にあることは明らかだ。
厳しい対立関係にあるEUを揺さぶるという点ではロシアもギリシャも利害が一致しており、今回の会談は両国にとって意味のある会談となったことだろう。 これで22日の首脳会議を前に、チプラス首相はEUとのポーカーゲームの新たなカードを手にしたと言うわけだ。
そのカードはまさに、ギリシャの財務相がEU諸国にこれまでちらつかせてきた「いつまでも年金改革などを強制する姿勢を続けていると、EUは手痛い打撃を受けるだろう」という脅しそのものである。 デフォルトに至ればユーロ圏のみならずEUからも脱退し、ロシアや中国と手を組むぞと言うギリシャにとって最後の切り札でもあったのだ。
昨日ある方からお知らせ頂いた情報では、ギリシャ政府の「公的負債の真実委員会」の調査結果がギリシャ国会のホームページに出たようで、それによれば6月30日の期限を待たずに、ギリシャは債務の支払い停止を宣言することとしたようである。
確かなことは確かめられないが、先のIMFのラガルド専務理事の「返済期限の延長は一切認めない」という発言と合わせて考えれば、どうやらギリシャもIMFも覚悟は決まっているようだ。 いずれにしろ2日後のEU首脳会議で全てが決まることだろうが、さてその先は?