世界各地の避難民たちの窮状

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げに恐ろしきは、宗教なり

 
 

 
 


なんとか救助された避難民たちには、さらなる苦難が待ち受けている

 
 

昨日からタイの首都・バンコクで、ロヒンギャ族の避難民対策を話し合う国際会議が開かれている。しかし、 受け入れを表明したのはマレーシアとインドネシアだけで、それも1年間に限るという、一時しのぎの対策である。この会議においても、参加したミャンマー政府はロヒンギャ族を自国民として認めておらず、彼らは国籍を持たない出稼ぎ労働者に過ぎないと主張している。

先日来、伝えられるニュースを見ると、タイ南部だけでなくマレーシアでも、避難民ロヒンギャ族の大量の埋葬死体が発見されており、なんとも痛ましいことである。どうやら 彼らは人身売買された後で、役に立たないと見なされ殺害されたようである。なんと言ってもショッキングなのは、 これだけの悲惨な状況が明らかになっているのにも関わらず、今もなお変わらぬ、ミャンマー 政府のロヒンギャ族に対する態度である。

ロヒンギャ族の人々がミャンマー政府から国民扱いされずにいる理由は宗教間対立である。イスラム教国のマレーシアやインドネシアが受け入れに前向きであるのに、タイ政府がかたくなに 受け入れを拒否し続けているのも、タイが仏教国であるからだ。 それにしても、密航業者になけなしの金を払って祖国を逃れ、命がけでたどり着いた地で人身売買され、あげくの果ては集団殺害されてはたまったものではない。  これを悲惨と呼ばずに何と言うのか!

国外からの難民の引き受けについて解決策が見出せずにいるのは先進国とて同じだ。今、中東やアフリカからの難民受け入れでもめているのがEU諸国である。 このように、今の世界には誤った貨幣制度と価値観が生み出した「貧困」と「差別」から、 困窮者たちを救い出す手立てがないのが現状である。

何千億、何兆円と言った巨万の富を持つ人間がいるル一方で、その日暮らしがままならぬ人間のなんと多いことか。 なんとも情けないことであるが、文明の発達とか科学の発達とか偉そうなことを言っていても、所詮、これが人類の行き着いた先なのだ。

 

新たに発生、イラクの国内難民

 

一方、中東に目を向ければ、イラクでは行く先を見つけられない新たな国難難民が発生している。

先日、イスラム国(ISIS)に占拠されたラマディ奪回に向けて激しい戦闘が続いているのがイラク。 アメリカから戦闘意欲のなさを指摘されたイラク軍は、イスラム民兵組織を加えて奪回作戦を始めているが、 奪回は容易ではなさそうで行く先は不透明。はっきりしているのは、ラマディに残った市民が悲惨な状況に置かれているということである。

ラマディーを離れた18万人に達する人々もまた、その悲惨さにおいては残った人々と同じである。彼らもまた残るも地獄なら、離れるも地獄 となっているのだ。先月から首都バグダッドを目指して避難している人々は、イラク政府の保証人制度で市内に避難することが出来ないでいるからだ。

政府は避難民の中にイスラム国の戦闘員が紛れ込んでいる可能性があるとして、バグダッドに住む市民が保証人になる人々しか 、市内入りを認めていないのである。その結果、なんとかバグダッドまで逃れてきた17万人の避難民の中で、わずか4万人しか市内 に入れておらず、残りの人々は周辺の避難所をたらい回しされているのだ。

 それにしても、外国ではなく、自国の隣の町に逃れて来たというのに、立ち入りを拒まれてはたまったものではない。 彼らの中で、なんとか国連やNGOが設置した支援施設のテントに入れた人々も 、劣悪な環境と50度を超す猛暑の中で、厳しい暮らしを強いられているというから心が痛む。

 
 

 
 


バグダッドに向け避難する人々を待ち受けているのはさらなる厳しい環境だ。
 

 


荒涼とした砂漠の中に設けられた避難所。50度近い猛暑の中で暮らす人々は気の毒だ
 

 

 
 


避難先のバグダッド周辺は猛暑の中、巨大な砂嵐に襲われている

 
     

どうやらイラクの避難民たちもまたロヒンギャ族同様、イラク国民と見なされていないようである。湾岸戦争以来、戦火の消えることのないイラクでは、今や人間としての尊厳が失われ、子供への哀れみも女性や高齢者に対するいたわりの気持ちも消え失せてしまったようである。その背景にあるのは、宗派間対立である。

前にも記したようにラマディーは元のフセイン大統領の出身地で、イスラム教・スンニ派の人々が多く暮らす都市である。それゆえ、シーア派政権にとっては多くのスンニ派の人々が首都バグダッドに入ってくることを避けたいのだ。

イスラム国の兵士問題が口実に過ぎないことは、首都への検問所における兵士たちの避難民に対する暴力的態度を見ればよく分かる。それにしても、宗教というのはなんとも恐ろしいものだ。 今や宗教が生み出した「宗教間対立」や「宗派間対立」は、争いと憎しみの元凶となっているのだから。平和な日本にいては分からないだろうが、これが愛を説いてきた宗教がたどり着いた現在の姿なのだ。

中東に限らず世界は今、全ての面で「人間の素」が表面化してきており、長い間隠されていたものが一斉に表面化してきている。中国人や韓国人の我が国に対する態度や、国際サッカー連盟 (FIFA)の180億円の賄賂問題も皆その一例である。

70億人の全ての民が「素」を出し、カルマを刈り取って次なる世界へ向かおうとしているのだから、社会が混乱状態に陥るのは当然である。 そんな世界を見ていると、中途半端な気持ちで高次元世界へ向かうことが、いかに難しいかを実感させられる、昨今である。




 

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