アフガニスタンの病院を誤爆
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米国軍によって空爆され多数の死傷者が出た国境なき医師団の病院
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シリア、パレスチナ、アフガンなど中近東に於ける混乱が、ここに来て日に日に勢いを増してきている。 シリアのIS(イスラム国)の拠点に対してロシアが先月末から空爆を始めたことや、それに対する欧米諸国の反発については「混迷度を増してきたシリア情勢」で伝えた通りである。 反発の理由は、空爆の対象がISだけでなく欧米諸国が支援している反アサド政府軍に向けられていることや、一般市民にも死傷者が出ている点であった。
ところがここに来て、米国政府自身がアフガニスタンで行った対タリバン作戦で、誤って病院施設を空爆し多数の死傷者を出したことで、国際社会から強く非難されるところとなっている。
これでロシアがシリアでアサド政権を支援する戦闘行為が一段と増してくることになりそうである。
10月3日、アフガニスタンの北部の町クンドゥズで「国境なき医師団」が運営する病院をアメリカ軍が空爆し、患者や医師など22人が死亡、多くの負傷者が出ることとなってしまったのだ。 空爆の対象となったのが、私がこれまで支援を続けてきた「国境なき医師団」であっただけに、心が痛む。
現地のアメリカ軍のキャンベル司令官は当初「米軍兵士が攻撃を受けたため、タリバン兵士が立てこもった建物を空爆したのだ」と釈明していたが、その説明はここに来て2転3転し「タリバンの脅威を排除するようアフガニスタン政府から空爆を求められたからだ」と責任をアフガニスタン政府に転化するものへと変わってしまった。
これを受け、国境なき医師団は「病院にはタリバンなど一人もいなかった」「今回の恐るべき空爆を正当化する余地は全くない」と強く反発。 また、国連の
藩基文事務総長は3日の声明で病院への空爆を強く非難、人権高等弁務官事務所の報道官も「国境なき医師団の病院はこの地域に残った唯一の医療施設であり、こうした医療施設に対する攻撃は戦争犯罪の可能性がある」と
強い口調で強く非難している。
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空爆の後、必至に負傷者の治療に当たる国境なき医師団
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空爆の恐怖におびえる入院患者とスタッフ
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経緯はどうあれ、現地に駐留すらアメリカ軍が、攻撃した建物が国境なき医師団の病院であることを知らないはずがない。 そこを空爆したとなるとまさに戦争犯罪以外のなにものでもない。 先のイスラエルとパレスティナとの戦争で、イスラエル軍が学校や病院を攻撃した行為も許し難いが、タリバン兵の存在を確認することなく空爆した今回の爆撃行為は、人道的に許されるものではない。 これで、もはや米国にはロシアを批判をする資格はなくってしまったことになる。
馬鹿ブッシュ親子が始めた湾岸戦争や中東戦争だけでなく、現在のシリアやアフガニスタンなどの難民問題も元を正せばみな米国の戦争行為が元凶である。 米国は10数年前から中近東諸国に戦争の種を撒き散らして数百万の死傷者を発生させ、
700万人を越す海外難民を生み出してきたのである。
ここに来て中近東に於ける情勢は一気に緊迫度を増してきているが、これから先、米国という国家とそこに住む米国国民は巨大なカルマの刈り取りに向かうことは避けられない。 気の毒のことだが、ご自身で蒔いた種だから致し方ない。
比較的平穏が保たれてきた旧エルサレム市内におけるパレスチナ人とイスラエル治安部隊との衝突も、前回の記事で私が予測したように一段と激し
さを増して来ており、4、5日の両日で247人のパレスチナ人が負傷するところとなっている。 さらにガザ地区ではハマスとイスラエル軍のロケット弾による報復合戦
も始まっている。
最近のパレスチナ情勢については後日改めて記すこと
になると思うが、パレスチナ問題は中東の不安定化の根幹であるだけに、ここに来て情勢が一段と悪化してきていることだけは、頭に入れておいて頂きたい。
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エルサレムでのパレスチナ人とイスラエル治安部隊との衝突は激しさを増して来た。
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