世界経済への影響は?
リーマンショックによる経済の立て直しのため、9年半にわたって金利が引き下げられ、ゼロ金利政策が7年間続いた米国。 失業率の低下や住宅需要の増加、個人消費の好調さを要因に利上げ観測が今年初めから話題になってきていたが、昨日開かれた我が国の日本銀行に当たるFRB(米連邦準備理事会)から、0・25%の利上げが発表された。
本来なら、利上げによって株価は下落に転じるところであるが、株式市場では米経済の先行きに対する自信の表れと受け止められ、ニューヨーク株式市場のダウ平均は224ドルの大幅上昇となり、それを受けて日本を始めアジア株も大幅に上昇して始まっている。
こうした市場の状況を見る限り、今回の米国の利上げは世界の金融市場に与えるショックは少なく、これから先も株価は上昇傾向が続くことになりそうである。 しかし、そんな甘い見方がいつまでも続くだろうか。 私にはそうは思えないが、もしも、今年秋に起きるとされていた株式市場の崩壊が先延ばしされ、しばらく株価の上昇基調が続くようなら、何か裏に大きな意図が隠されているはずである。
その一つとして考えられることは、今もなお資金的に余裕のある共産党政権下の中国市場から、資金を吸い上げることではないかと思われる。 「闇の勢力」の傘下にいる金融ブローカたちも、いつまでも実体経済を無視した株高を維持できるものでないことは承知しているはずだ。 しかし、稼げるだけ稼いでおこうとする「カネの亡者」たちは、最後に残された裕福な中国富裕層から、マネーをむしり取っておきたいと思っている可能性は十分にあり得る。
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異常な高温が続き、ワシントンの桜が咲き始めてしまった。
これから先の不透明な米国経済の先行きを見せているようである。
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ただ、金利の引き上げによって、米国が世界にばらまいてきた2兆5000億ドル(300兆円)という膨大な資金が、引き上げられることになるため、ブラジルやマレーシア、インドネシアなど新興国や資源国の資金は逼迫し、通貨の下落が起きることは避けられない。 また、事実上マイナス成長に陥っている中国から、石油や石炭、鉱物などの資源の注文がストップ状態になっていることも、それらの国の経済低迷や財政悪化に追い打ちをかけることになる。
さらに問題なのが、ここに来て再び急落している原油価格である。 1バーレル120ドルを超していた価格が60ドル近くまで急落し、混迷を深めていた原油産出国は、ここに来て35ドル割れとなり、さらなる打撃を受けている。 サウジアラビアなど豊かな中東の産油国は別だが、エクアドルなど原油の輸出で生計を立てている国々は国家財政が立ちゆかなくなって来ている。
もしも、こうした状況が長く続くようなら、これらの国々の中には、デフォルト状態(財政破綻)に陥る国が出てくることになりそうである。 手持ちの米国債権や金(ゴールド)を売却しているサウジアラビアとて、いつまでも安泰とは言い切れない。 外貨獲得の30%を石油の輸出に依存しているロシアとて同様である。
春先の2回目の金利引き上げまでは、世界経済は平穏を保ち続けることが出来るかもしれないが、いつまでもというわけにはいかないはずだ。 何が起きてもおかしくない今日の世界情勢を考えると、もしかすると、中国経済に対する影響が思惑とは異なり、中国の株式市場が混乱することになるかもしれない。 また利上げで、円安になるはずの円が急騰し、我が国から株価暴落が始まることになるかもしれない。
しばらくは、世界の株価や原油価格の動きと併せて、ブラジルなど新興国やエクアドルなど原油輸出国の状況を注意深く見守っていくことにしよう。
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