シリアでヒズボラ幹部を殺害
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イスラエルを敵対視する武装勢力「ヒズボラ」。イスラエル対ヒズボラ
の戦闘は、中東情勢のさらなる悪化のきっかけとなるかもしれない
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シリアの隣国・レバノンに拠点を置く武装勢力「ヒズボラ」。 このヒズボラはイスラエルと敵対する勢力で、シリアの内戦にも参加しシリア政府軍を支援して来ている。 今朝の外電はそのヒズボラの幹部・カンタル氏がシリアで軍事作戦に参加中、イスラエル軍からの空爆で殺害されたというニュースを伝えている。
これまで、イスラエル政府はシリアへの関与を公式には明らかにしてこなかったが、今回のヒズボラ幹部の殺害に至った空爆については、ネタニヤフ首相は「肯定も否定もしない」と事実上の関与を認める発言をしている。 どうやらイスラエルからミサイル攻撃を行ったようであるが、いよいよ恐ろしきイスラエル軍の表舞台への登場である。
イスラエルが、米国やイギリスと組んで武装勢力IS(イスラム国)を養成し、シリアのアサド政権つぶしを行って来たことは、すでにお伝えして来た通りである。 しかし、そのISがロシアの空爆参加によって苦境に立たされて来ているため、いよいよ自ら表舞台に登場し、アサド政府を倒すためヒズボラを弱体化させようと動き出したものと思われる。
これから先、イスラエルとヒズボラの対決が激しさを増し、イスラエルがシリアへの関与を深めることになれば、シリアの内戦の構図はさらに複雑になることは避けられなくなり、シリア情勢はますます泥沼化することとなってくる。
今、国連も参加してシリアの和平交渉が進められようとしているが、イスラエルにとって、アサド政権が存続する和平交渉は認め難いだけに、これから先、ネタニヤフ首相は和平案阻止に向かって動き出すのではないだろうか。
トルコもまた混迷
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トルコ東南部の都市は事実上内戦状態と化している
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シリア情勢がますます泥沼化してきている一方で、NATO(北大西洋条約機構)のメンバーの一国としてシリア、イラクと隣接するトルコもまた、混迷を深めてきている。 ドイツのテレビ・ZDFは、クルド族の人々が多く住むトルコ南東部の複数の都市で、自らの文化を築きたいと願うクルド族の民兵に対してトルコ政府軍が空爆を行い、100人以上の兵士や一般市民を死亡させたことを伝えている。
攻撃に晒された幾つかの都市からは市民が避難を始めており、シリアやアフガニスタンからの難民の受け入れ国であるはずのトルコ自身が難民の発生国となろうとしている。 難民問題で国家を揺るがす事態となっているEU(欧州連合)各国は、これから先トルコが内戦状態になったら、さらなる混乱状態に陥ることは必至である。
トルコの内戦化は難民問題だけでなく、武装勢力IS(イスラム国)の壊滅作戦にも大きな打撃となる。 ISに対しては米国やフランス、イギリス、ロシアが壊滅作戦に乗り出しているが、それは全て空爆に限られている。 地上部隊としてISと戦っているのはイラク軍とクルド族部隊である。
クルド族部隊こそがISに対抗する切り札となるとして、ドイツは積極的に武器の供与をしてきていたが、そのクルド族をトルコが攻撃してしまってはIS(イスラム国)を喜ばせるだけである。 これまでに中東情勢の混乱の火付け役となるのはトルコであると記してきたが、先日のプーチン大統領のトルコに対する攻撃的な発言もあり、これから先、ますますトルコ情勢からは目離せなくなって来そうである。
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中東からの避難先であるはずのトルコで、避難民が発生する事態となっている
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