シリア内戦終結への動き
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ギリシャ沖、難民遭難相次ぐ

 
 

 
 


ギリシャ沖で救助される難民たち

 
 

このところギリシャ沖で難民たちが乗った船の沈没が相次いでいるが、27日には、子供を含め50人を超す死者や行く方不明者が出ている。 天候が悪いにもかかわらず冬が来て、海がさらに荒れるのを前に渡航を試みようとするケースが相次いで、難民たちは厳しい状況にさらされているのだ。

海を渡りなんとかギリシャにたどり着いたとて、そこは出発点に過ぎない。 そこからまだ幾つもの国を経てドイツや北欧を目指して旅立っていかねばならないからだ。 必死の思いで なんとか隣国・セルビアまでたどり着いた難民を待ち受けているのは、国境に張り巡らされた有刺鉄線である。

セルビアとの境界に鉄線を張ったハンガリーはその後、クロアチアやスロベニアとの国境にも鉄線を張り巡らしたため、難民はオーストリアを経て先へ進むしか手立てがなくなっ てしまった。 ところが、間もなくオーストリアもスロベニアとの国境に越境防止フェンスが建設することになるようである。

そんな状況下、厳しい雨と寒さの中なんとか目的地ドイツにたどり着いた難民たちには、今度はドイツ国内で難民に反対する右派勢力によって、避難所が焼き討ちされるなど艱難が待ち受けている。 戦闘が続くアフガニスタンやシリアに残るも地獄なら、国を捨てドイツや北欧を目指すのもまた地獄。 まさに 難民たちにとって、この世は生き地獄である。

 
 

 
 


雨と寒さの中を歩き続ける難民の子供たち

 
 

シリア内戦終結に向かうか
 

 
 

 
 


ウイーンで開かれた17ヶ国の外相会議

 
 

この世を生き地獄と化している元凶の一つ、シリア内戦が終息に向かうことになりそうな、かすかな兆しが見えてきた。 30日、オーストリアのウイーンで4年を越すシリアの内戦を終結させるため、米国とロシアそれに中東諸国やヨーロッパなど17ヶ国による外相会議が開かれた。

今回の会議が歴史的な会議となったのは、アサド政権と反政府勢力を支援する関係国が一同に会した初めての会議であったことと、中東の大国イランが加わったことである。 シリアの内戦は参加した国々の代理戦争と化しているだけに、一国でも欠けたら意味がないのである。

内戦発生以来4年、すでに女性や子供を含む25万人の命が失われ、国内難民400万人、国外難民600万人が発生している。 それらの難民が地獄の苦しみを味わっているのは、先述した通りである。

世界注視の中で開かれた外相会議は8時間に及んだものの、一番の注目点であるアサド政権に対する対応では隔たりが埋まらず、合意には至らなかったようである。  2週間以内に再び開催することになったようなので、内戦終結への一縷(いちる)の望みは残されことになった。

欧米やロシア・イランなど主要メンバー国はみな終結への強い意志を持っているようなので、しばらくの議論を経たあと、ロシアが提案している1年〜1年半後の選挙を条件に、休戦にいたる可能性はありそうだが、それには欧米側が譲歩して、アサド大統領の選挙への立候補を認めることが必要不可欠となりそうである。

ただ、内戦に参加しているのは、政府軍と反政府軍だけではなく、IS(イスラム国)やアルカイダ系の武装集団が入り乱れているため、仮に外相会議で停戦合意が出来たとしても、シリアにすんなり平和が訪れ、住まいを離れた国内外の難民たちが戻って来る事は容易ではなさそうである。

私が一番心配しているのは、一端合意し選挙の実施が行われた後、再び内戦状態になった時のことである。 この時はもはや「終わりなき戦い」となり、政府軍、反政府軍、アルカイダ、クルド部隊などが入り乱れての地獄の戦場と化すだけでなく、欧米諸国やロシア、さらにはサウジアラビアやイランが直接参戦することとなり、世界最終戦争「ハルマゲドン」に向かって一歩を踏み出すことになるかもしれない。

先ずはしばらく、欧米諸国やロシア、イランの動きを注目することにしよう。

 
 

 
 


17ヶ国の論争の主たる問題はアサド大統領の処遇である。

 

 

 

 

 

 




 

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