問題は、「一人っ子政策」の転換によってこうした様々な難問をどれだけ解決できるかという点である。 実はすでに2013年には政策の一部に修正を加えて「夫婦のどちらかが一人っ子ならば2人目を産める」という政策に変更してきていたのである。
ところが、この政策変更以降も新制度の利用率は低迷したままで、子供の数は政府が期待したように増加していないのである。
今年の6月現在で、第2子を持つ資格のある1100万組の夫婦の内、第2子の出産を申請したのはわずか14%弱、150万組にとどまっている。
「一人っ子政策」の中で生まれ育った若い両親は、一人っ子中心の小さな家族に慣れてしま
っていることと、子供を増やすことによって教育費など経済的負担が増すため、二人目を産むことを躊躇(ちゅうちょ)しているようである。
ブログでは、「物価は高い。 給料はなかなか上がらない。 食べ物や空気も心配だ。 こんな世の中で自分の子供は産まれてきて欲しくない」「自分の収入では家も買えない。 子供の前に、結婚できるかが問題だ」といった書き込みが目を引いている。
そのため、今回の「一人っ子政策」の廃止後も少子化に歯止めがかけられるか、はなはだ疑問である。 もしも新たな「二人っ子政策」が順調に進んだとしても、来年以降産まれる子供が労働に
就き経済を活性化するのは15〜20年先であることを考えると、今回の「二人っ子政策」への変更が、当面の経済の回復に役に立たないことは明白である。
従って、これから先、少子高齢化は一段と進むことは避けられず、経済の崩壊や社会的問題が発生し、共産党政権を崩壊させる暴動へと発展する可能性が大きいことは今まで通りである。 中国政府が
「シルクロードの一体一路」構想やアジアインフラ投資銀行にイギリスやドイツ、フランスなどを参入させようと、巨額の資金を投資し経済交流の活発化を進めているのもそのためである。
しかし、昨今の経済の低迷は世界的規模であり、さらに「ロシア・中国
対 欧米」の争いがこれから火を噴く可能性が大きいことを考えると、今回の「一人っ子政策」の廃止によって中国政府が期待する経済の発展と社会の安定化が順調に進むかどうかは、はなはだ不透明である。
次なる政策は、同じ「2人っ子政策」でも、強制的に2子を持たせる制度に変わることになるかもしれない。